すべての子どもに「株式市場への第一歩」を。今こそ、その一歩を踏み出すときです

新たな“トランプ・アカウント”制度で、すべての新生児に1,000ドルを支給し、投資へのアクセスを拡大

Father and child exploring nature outdoors

以下は、ラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文はこちら

本記事は2024年7月10日付のThe Washington Postに掲載されたものです。許可を得て転載しています。

 

ザック・バックワルド 
ラッセル・インベストメント 会長兼CEO

多くの米国人は、投資に対して不安や苦手意識を持っています。その結果、将来に向けた資産形成が不十分となり、実際には私たちが思っている以上に連邦予算に大きな負担がかかっているのです。若い家庭が早いうちから投資に触れることができれば、米国全体に真の投資文化を根付かせるきっかけになるかもしれません。

そうした観点から、「トランプ・アカウント」と呼ばれる投資口座の制度が含まれた「One Big Beautiful Bill Act」の成立は、歓迎すべきニュースです。この法案そのものが完璧とは言えないものの、投資口座制度は、多くの家庭が経済的な土台を築くうえで効果的な取り組みと言えるでしょう。

同法に関する議論では、財政赤字への懸念や給付削減の必要性が中心となっていましたが、この制度はその逆の効果をもたらす可能性があります。つまり、米国人がより早く、より自信をもってお金を管理できるようになれば、将来的に政府のセーフティネットや予算にかかる負担を軽減できるのです。これは、長年続いてきた深刻な課題――多くの人が現役時代に十分な貯蓄や投資をしていないという問題――に対して、長期的な視点で向き合う取り組みです。

トランプ・アカウントは、すべての人に投資の入り口を開くという意味で、非常に大胆な提案です。2025年から2028年にアメリカで生まれたすべての子どもに、1,000ドルの投資口座が自動的に開設されます(それ以前に生まれた子どもも口座開設は可能ですが、政府からの初期資金は支給されません)。この制度は、長期的な積立を促すよう設計されており、最終案では雇用主による拠出も認められたことが大きな改善点です。家族は年間最大5,000ドルを拠出でき、そのうち雇用主が最大2,500ドルまでを負担することができます。たとえ少額の積立でも、時間をかけて運用すれば、資産は大きく成長する可能性があります。 

例えば、家族が毎週20ドルを積み立て、雇用主が年間2,500ドルを追加した場合、年平均7%の運用ができれば、子どもが21歳になる頃には、口座の残高は10万ドルを超える可能性があります。その後も積立を続ければ、60歳時点で200万ドルを超える可能性も十分にあります。これは大学の学費や住宅購入といった人生の節目だけでなく、老後の生活までを見据えた資産づくりにつながります。

資産形成は、早く始めるほど有利になります。複利の力によって、投資したお金は経済の成長とともに増えていきます。これは、インフレの影響で価値が目減りする可能性のある預金や国債にはない魅力です。さらに、この制度を通じて、これまで投資に触れる機会が少なかった家庭も、資産運用に関する知識やツールを手に入れることができます。

もちろん、この制度には批判もあります。左派の一部は、「この制度は年間5,000ドルを拠出できる裕福な家庭に有利ではないか」と指摘しています。それは一理ありますが、税制上の優遇措置として見れば、今回の制度はごく小規模なものです。この制度は、すでに多くの家庭が活用している大学資金向けの「529プラン」のように、幅広い層にとって実用的な制度となることを目指しています。

一方、右派の中には「これは政府によるばらまきだ」との批判もあります。確かに、1,000ドルの支給は贈与です。ただし重要なのは、この制度が将来的に国民の自立を促し、結果として政府の支出を減らす可能性があるという点です。こうした制度が家計の資産を増やし、メディケイド(低所得者向け医療制度)や補足的保障所得(SSI)といった公的支援への依存を減らすことが、複数の研究で示されています。これは家族にとっても、国の財政にとってもプラスになる結果です。 

包摂と自立支援の両方を促す政府の制度は、非常にめずらしいものです。この制度は、それを同時に実現する可能性を持っています。この口座だけで富の格差が解消されることはありませんが、金融の仕組みを自然と理解しながら育つ子どもと、最初から「自分には関係ない世界」と感じてしまう子どもとの間にある“経験の差”を縮めることができます。投資文化を築く第一歩は、経済的なチャンスを生むツールへのアクセスを広げることから始まります。

もちろん、制度の中身も重要です。財務省がこの制度を監督し、民間の金融機関と連携して運用される予定です。法律では、投資先を低コストのインデックスファンドに限定し、手数料も年0.1%以下に抑えると定められています。そのため、家族が得た利益をより多く手元に残すことができます。資産運用業界にも、分かりやすく透明性のある仕組みを提供する責任があります。また、投資教育とセットで進めることも重要です。自分が何に投資しているのか、なぜそれが大切なのかを理解できるようにすることが不可欠です(法律の詳細は来年中に確定する予定です)。

この制度は、無理のない範囲で積立を続けることで、誰でも資産形成に参加できる仕組みです。うまく機能すれば、これまで批判的だった立場の人々も納得できる結果になるかもしれません。

最後に、資産運用業界にとってもこれはまたとないチャンスです。長年「投資の民主化」が語られてきましたが、多くの人にとって投資は、いまだ“限られた人だけの世界”に感じられています。その障壁を取り除き、すべての人が市場にアクセスできるようにすること。これこそが、トランプ・アカウントが目指していることなのです。 

すべての子どもに、投資の足がかりを提供する。これは、「この経済は、誰もが参加できるものだ」という明確なメッセージであり、よりよい未来を築くためのツールは、人生の最初の日から用意されるべきだという考え方を示しています。