プライベート・マーケットの成功戦略

プライベート・マーケットは投資サイクルの新たな局面を迎えようとしています。

この10年間に多くの資金を集めたデジタル・インフラやサプライチェーン変革といったテーマの大半が、初期投資の段階から大規模展開の段階へと移行しています。

投資機会が成熟し資金の集中度が上昇する中で、運用会社の間では差別化が進みつつあり、リターンを生み出す要因として、実行能力やオペレーション能力、あるいは構造的需要を持続的なキャッシュフローに結実させる能力の重要性が一段と高まっています。

投資家は、さまざまな要因が拮抗する難しい状況への対応を迫られています。

5つのトレンド:市場の変動要因

2026年の市場では成熟度の高い投資案件に対応することが必要となります。それらの案件には、相反するさまざまな力が微妙なバランスを保ちながら作用しています。

例えば、

  • AI投資関連のデータセンター。電力需要は膨大だが、電力供給と送電容量には制約がある

  • 財政が逼迫する中で、再工業化の目標を掲げて政府が行う財政支援

  • 国際的な分断化が進む状況下での、プライベート・マーケットにおける出口手段の多様化

  • キャッシュフローが強靭な成長企業を対象とした、ポートフォリオ企業への投資意欲の再燃

運用受託者が成功を収めるには、こうした相反する力学と、それらが経済に与える影響を理解するとともに、収益機会を実現化できるパートナーを選択することが必要となります。

当社では、そのような状況に立ち向かう投資家の皆様のために、2026年以降のプライベート・マーケットを形成すると考えられる5項目のトレンドをまとめました。

2026年には、コロナ禍の中で企業が調達した低コスト資金が満期を迎えるなど負債の償還期が到来し、借り換えが行われた資金の再投資先に注目が集まることとなるでしょう。自動化を業務に活用して生産性や信頼性の向上を実現している企業は、資本市場での資金調達が可能となり、借り換えの自由度が高まると考えられます。資本コストが高い環境では、業務上の能力に由来する競争優位性を持つ企業を対象としたプライベート・クレジット融資やストラクチャード・エクイティ投融資が、投資家にとっての優良な投資先となります。

サプライチェーンでは、グローバルな最適化を優先する動きが終息に向かい、内在的な強靭性を備えようとする取り組みが進んでいます。また、関税や輸出制限に関する世界的な動向により、市場のボラティリティが上昇しています。運用受託者は、短期的なノイズにとらわれず、新しい世界の構築が進む現在の状況に応じたポートフォリオを構築することを目標とすべきでしょう。具体的には、調達の現地化やワークフローの自動化を実現している企業、あるいはプロセスのノウハウを難しい問題に応用できる企業などへの投資を通じてキャッシュフローの持続性を高めることなどが挙げられます。各種戦略の中では、高度な製造技術、物質的産業への高度な技術の組み込み、物流の全面的改善、優れた技術を活用したエネルギーシステムの拡大といった分野を中心とした戦略が、引き続き長期的な魅力を持つことになるでしょう。 

AIが生産性を高めるエンジンであるなら、電力供給や相互接続、安定したデータインフラなどは産業の基盤だといえます。2026年以降の産業界では、資金調達や規模拡大のソリューションによるボトルネックの解消が志向されるでしょう。その中で、投資家が長期的な成功を収める手段としては、契約ベースのキャッシュフローを持ち希少性のあるリアルアセットのうち、いわゆる計算能力の拡大に寄与するもの(例えば発電、送配電網更新、電力設備のある土地、設備ファイナンスなど)を対象資産として、実行力や安定した電力を重視した戦略による投資を行うことなどが考えられます。産業の基盤となるような資産は、AIへの需要に応えるだけでなく、イノベーションの大規模な拡大を実現する可能性も有しています。

プライベート・マーケットでは、成熟度の高い資産に配分していた資金を新しい分野に投入することにより資金の回転を効率化する動きが進んでおり、これは2026年も続くでしょう。従来の流動性チャネルが変化するとともに、M&AやIPOがいつでも実施できるとは限らないという状況の中では、セカンダリー取引や継続ビークル、あるいは進展の兆しがあるトークン化やユニット化などが、流動性を補完する手段となるでしょう。非流動性資産の譲渡はポートフォリオ管理ツールとしての利用度が上昇しており、高品質な流動性調達は単なる個別案件ではなく一つの商品となっています。 

国家安全保障を目的とした資金調達は、一つの成長セクターとして2026年に加速すると予想されます。 市場の注目点は「革新的なアイデア」から「システムを大規模に配備する」能力へと移りつつあります。難解な規制や調達の変化に対応し、あるいは集中リスクを軽減するには、特別なスキルと各分野での専門能力が必要となります。長い目で見て最終的に勝利を収めるのは、国家的な重要課題に関連する分野で投資可能かつ再現性のあるキャッシュフローを生み出す能力があり、しかもガバナンスや受託者原則、引受け規律を犠牲にしないプレイヤーということになるでしょう。

資産クラスの成功戦略

プライベート・クレジット

プライベート・クレジットのマーケットでは、資金流入が豊富で信用状況も良好という環境が数年続いていましたが、一部ではストレスの兆候が見え始めており、選別をさらに厳しくする必要性が意識されるようになっています。

新たな信用サイクル:現在のポートフォリオは、かなりの部分が2021年および2022年に構築されたものです。その時期は資本コストが低く倍率指標が高水準で、個人投資家からの資金はすぐに投資充当されていました。それらの年代に属するポートフォリオは、当時と大きく異なる環境に現在移りつつあります。一部の発行体は、プライベート・クレジットに対する需要が旺盛だった時期に前倒しで借り換えを終えて2025年の満期を延長しましたが、大半の発行体は高金利での借り換えを迫られています。変動金利による返済がすでにフリーキャッシュフローを圧迫し始めており、一般的な5年から7年の満期が接近しているというのが現在の状況です。その中で、借り換えは任意で行うものではなく実質的な義務となっており、信用サイクルが新たな局面に移行したことが浮き彫りとなっています。

センチメントの変化:プライベート・クレジットに対する投資家のセンチメントは、米国事業開発会社(Business Development Company:BDC)やインターバル・ファンドなどの形でプライベート・クレジットに投資していた個人投資家を中心として、慎重なものとなっています。一部の大手ファンドでは解約制限の水準を上回る解約が発生しており、私募BDCなどの投資ビークルについてはネガティブなセンチメントが強まる可能性がありますが、これはプライベート・クレジット全体の問題というよりそれら一部のファンドに固有の問題です。信用力が最も高い上場BDCを除けば、現在は大半が純資産価値(NAV)より大幅に低い価格で取引されています。投資家の関心は、ソフトウェア企業に対する貸し手のエクスポージャーに集まっています。このセクターは、SaaS(Software as a Service)が安定的な収益を生み出すと認識されていたことにより、これまではプライベート・クレジットにおける大きなセグメントでした。

市場の底固さは継続:解約は増加しているものの、それを補う重要な動きがあることはニュースでは見落とされています。解約が生じているファンドの多くが、他方では解約と同等またはそれを上回るペースで引受けを行っており、それを見る限り個人投資家の資金が完全に出金超過に転じたとはいえませんが、新しく入ってくるデータには出金超過を示唆するものも多く含まれています。また、機関投資家の大半はクローズドエンド型のビークルによりプライベート・クレジット投資を行っており、それらのビークルには豊富な待機資金があるほか、積極的な貸し手も残っていて借り手をある程度支えていますが、今後の融資は2025年より高いスプレッドとなる可能性が高そうです。

選別が重要:市場に変化が生じる時期は最大手の運用会社が有利となる傾向が強いため、2026年以降は選別が重要となるでしょう。ダイレクト・レンディングでは慎重な姿勢をお勧めしています。特に、個人投資家の資金動向に左右されやすく現在は好ましくない状況にある米国市場では、慎重さが重要となります。私たちが選好する運用会社は、プライベート・エクイティ業務を行っており、事業再構築の能力を有していることに加え、真の企業オーナーとしてのマインドセットを備えている運用会社です。そのような運用会社は、企業経営に機動的に関与して、ダウンサイド・シナリオの時期においても企業価値を維持することが可能であり、当初引受時の想定に依存せず、ストレス環境においても事業の清算を強いることがありません。また、私たちは欧州ダイレクト・レンディングも選好しています。相対価値の魅力が高く、個人投資家のセンチメントによる影響を受けにくいことがその理由です。 

再生可能エネルギーとオフィス不動産の投資機会:資金が不足しておりリスクが十分に認識されているような分野では、非常に魅力的なプライベート・クレジット投資の機会がよく生まれます。競争が激しくないセグメントの優良企業に資金を提供すれば、市場を上回る魅力的なリターンが得られる可能性があります。ディストレスト企業が多数存在する状況は現在でもあまり見られませんが、ストレス状況にある一部の分野では局所的に投資機会が発生しつつあります。現在注目すべき分野としては以下の2つを挙げることができます。1つは米国の再生可能エネルギーセクターです。このセクターは政策期待が変化したことにより不利な状況にありますが、本質的に存続可能である企業に対して借り換えや事業再構築の機会を提供し続けており、投資家の競争も激しくありません。もう1つはオフィス不動産クレジットです。オープンエンド型のエクイティ・ファンドが取引の圧力を受けており、バリュエーションは過去の高値を大きく下回って推移しています。そのため、保守的な引受けを行えば、魅力ある将来的リターンが生じる可能性があります。

解約の動きが2025年下期に急拡大

大型BDCのNAVに対する解約請求の比率

Bar chart comparing Q3 and Q4 percentages for firms

出所:Robert A. Stranger & Company, Inc、2025年12月31日時点。

想定される戦略:

現在の環境下におけるプライベート・クレジットの資産配分については、幅広いエクスポージャーを扱うより、質の高さや柔軟性、運用会社のスキルを重視することが望ましいでしょう。米国ダイレクト・レンディングへのエクスポージャーは選別的に扱う必要があります。欧州ダイレクト・レンディングはプライシングが良好で個人投資家のセンチメントによる影響も少ないため、比較的魅力の高いエントリー・ポイントとなるでしょう。また、資本が不足している分野に資本を供給する戦略、例えばオポチュニスティック、スペシャル・シチュエーション、あるいはストレスト・クレジットなどについても、競争が少なくリスクとリターンのバランスが比較的良好であることから、それらに配分を傾斜することが望ましいといえます。総合的にいえば、ポートフォリオでは、各戦略間の分散を図ることや、コミットメントのペースを慎重に検討することが必要です。また、クレジット環境の変化に対応できる運用会社を選好することも重要となります。


ベンチャー・キャピタル

ベンチャー・キャピタルは2026年に入って勢いを取り戻していますが、その回復は一部に集中しています。

投資の回復:グローバルなベンチャー・エクイティ資金供給は、2年間のリセット期間を経て2025年には約4,690億米ドルまで回復しましたが(2024年は約3,200億米ドル)1、案件数は減少しました。この状況からわかることは、投資金額の増加はリスク選好度の拡大と同義ではなく、企業規模や各分野での主導的地位が市場で評価されているということです。

優良企業、優良なバリュエーション:ベンチャー投資が一部に集中していることは、資金供給金額の3分の2を、レイターステージ案件を中心とした1億ドル以上のメガラウンドが占めていたことからも明らかです。グローバルな案件規模の中央値は約330万ドルであり、典型的なスタートアップの資金調達ラウンドが、ニュースが伝える資金調達総額ほどには大きく拡大していないことがうかがえます。こうした二極化は、現在の投資サイクルの重要な特徴です。突出した企業は特別に優良なバリュエーションで資金が調達できますが、それ以外の多数企業は厳しいプライシング状況の中で競合しています。

AIが牽引:ベンチャー投資の回復は引き続きAIが中心であり、2025年の資金供給額は約2,260億ドルとなりました(2024年は約1,140億ドル)。また、グローバルなベンチャー・キャピタルの約48%を占めるという記録的な比率となっています。次のフェーズでは、ワークフローの所有に対する集中がさらに高まると私たちは予想しています。この変化により、流通や統合の進捗、および独自データの優位性に特別な価値が置かれるようになると考えられます。同時に、AIは、単なるデジタルな成果を超える拡大をベンチャー投資にもたらしています。2025年にはロボティクスへの投資額が約407億ドルに達し、「フィジカルAI」が次のフロンティアになるという確信が高まっていることを示しています。ポートフォリオについては、こうした動きにより、自動化を重視するセクターに投資機会が広がります。それらのセクターでは、現実世界への展開、専門的なデータ、安全性と認証の要求、および製品サイクルの長期化がディフェンシブな特性を支えています。

ボラティリティは引き続き高水準:変革的なテクノロジーには過信とその修正がつきものです。重要なことは変曲点を予想することではなく、ファンダメンタルズに基づく引受けを行い、単一テーマへの集中を避けることです。 

年間エクイティ資金調達金額および案件数

ベンチャー投資の資金供給は回復する一方、案件数は減少

Japanese financial statistics table for 2021–2025

出所:CB Insights

想定される戦略:

ベンチャー・キャピタルは、長期的な成長やイノベーションへのエクスポージャーに関する必要不可欠な源泉であると私たちは考えていますが、市場は「誰でも使えるAI(obvious AI)」に対して強硬ともいえるプライシングを行っています。私たちは、分散を把握できるように構築したポートフォリオを選好しています。また、差別化を実現している運用会社を支持し、エントリー・ポイントの早期化を重視し、かつ投資ペースの規律を守ることにより投資サイクルの過密な部分を買うというリスクを低減しています。

ベンチャー・キャピタルは、分散化されたポートフォリオにおいて戦略的な役割を果たす可能性がありますが、現在の投資機会には規律が必要です。資金調達がメガラウンドやAI関連に一段と集中する中で、私たちは、あらゆるヴィンテージにわたり投資ペースを安定させることや、ステージごとの分散化を図ること(アーリーステージおよび一部のミドルステージに傾斜)、あるいは慎重な流動性計画を立てることを選好しています。また、プライマリー出資とセカンダリーを組み合わせることにより期間と分散を管理する一方で、ニュースになるようなAI関連案件以外でも案件発掘上の優位性を継続的に発揮できる運用会社を選定対象とすることにもメリットがあると考えています。

プライベート・エクイティ

プライベート・エクイティではエグジットがここ数年低迷していましたが、最近は資金が復活する兆しが見えており、オペレーションの変革や新技術の活用を促進するような投資のリターンが今後好調になると見込まれます。

資本のリターン:プライベート・エクイティのエグジットは、投資資本に対する比率で見ると2021年にピークとなりましたが、供給された資金のプールは過去最大水準に拡大しており、そこからの新規投資は引き続き速いペースを維持しました。投資家は資本のリターンを重視するようになり、エグジットの大きな追い風となっています。プライベート・エクイティではセカンダリー・セールによるエグジットが一段と増加していますが、M&AやIPOあるいはトレードセールといった従来の手法も順調です。2026年には、従来の経路やセカンダリーを通じてのエグジットが件数・金額ともに増加すると私たちは予想しています。

オペレーションのスキル: 近年は金利上昇が続いたため、金融工学によるリターン生成は頭打ちとなっています。ポートフォリオ・マネージャーがプライベート・エクイティ分野での改善や効率化、成長、リターン生成を推進するためには、中核的なオペレーション能力を改善できるかどうかが一段と重要になっています。

AI、自動化、適応能力: このようにオペレーションが重視される状況では、どのような企業にとっても、AIや自動化、および適応能力が成長の鍵となります。少なくとも今後5年間については、あらゆる産業セクターにおいて、ハードウェアとソフトウェアの両面でAIや自動化を活用できるかどうか、および、役員クラスからインターンに至るまで全社的にそれらが普及するかどうかが、戦略の成功にとって重要な要因となるでしょう。

エバーグリーン・ファンド:エバーグリーン・ファンドはプライベート・マーケット全体で採用が拡大しています。エバーグリーン・ファンドは、真に長期的な資本の供給と忍耐力のある投資を実現する手段であり、投資家にとっては従来のクローズドエンド型ファンドより優れた流動性メカニズムとなります。このトレンドは、個人投資家と機関投資家のどちらについても今後大きく拡大すると私たちは予想しています。 

案件のトレンド:エグジット種類別投資額

案件数の減少トレンドにより長期保有の投資案件からの分配金が減少し、GPからの新規資金調達に対する需要が減退

Stacked Bar Chart of Financial Exits by Year

出所:Preqin 'Private Equity in 2026'

想定される戦略:

プライベート・マーケットのポートフォリオにおいて、プライベート・エクイティは長期的な成長を推進する役割を果たすとともに、エグジットが回復する中でポートフォリオに流動性をもたらします。成熟した資産と安定した実行パイプラインを持った運用会社を重視することに加え、AIや自動化あるいは効率化によるオペレーショナルな価値創造を中心とした戦略に新規資金を配分することが必要となります。エバーグリーンのストラクチャーはキャッシュフローの円滑化に貢献します。また、米国とグローバルの各銘柄を厳選することにより、マクロ経済リスクや政治的リスク、およびセクター固有のリスクを分散化することができます。

プライベート不動産

プライベート不動産については、短期的には不透明感があるものの、長期的には構造的要因により不動産への需要とファンダメンタルズが生まれています。

構造的成長:新規着工が大きく減速する中で、高齢化や住宅価格高騰といった人口動態的トレンドが、住宅やヘルスケア関連物件に対する継続的な需要を支えています。新規着工はあらゆる種類の不動産で大きく減少しており、2026年の予想竣工件数も縮小しています。そのため今後の供給は絞られ、賃貸が拡大するとの見通しが強まっています。また、テクノロジーの進化とAIの急速な普及に伴って、企業が優れたデジタルインフラや高速なデータ処理、効率的なサプライチェーンを求めるようになっており、データセンターや最新物流施設への需要が加速しています。既存資産の大半が再調達コストを下回る価格で推移している中で、これらのセクターでは構造的な需要と参入障壁の高さがプラスに働いています。

ばらつきのある回復:プライベート不動産は回復局面に入りましたが、セクターや市場により進捗にばらつきがある状況が続いています。集合住宅、産業用施設、データセンターおよび生活必需品中心の商業施設は、底堅いテナント需要や建設活動の低下、および競合的供給の減少が追い風となって急速に安定に向かっています。それに対して、オフィスや一部の宿泊施設、および古い商業施設では、回復が安定軌道に乗らず、空室率の高さや設備投資の必要性、あるいは借り換え圧力により、パフォーマンスが引き続き抑圧を受けています。着工件数が大幅に減少し将来の供給が制約されるという状況下で、高品質な資産はキャッシュフローの改善による恩恵を受けやすくなっていますが、脆弱な資産は回復に長い時間を要しています。その結果としてリターンのばらつきが拡大しており、投資サイクルのこの段階を乗り切るためには資産の品質とアクティブ・マネジメントが一段と重要になっています。

パブリックとプライベートの収束:パブリック不動産では金利上昇に対する調整がすぐに生じましたが、プライベート・マーケットは取引量の少なさや価格発見の遅さにより出遅れました。プライベート・マーケットでは、取引量の回復と資本市場の再開を受けて、バリュエーションの明確性が向上するとともに、プライシングについてもパブリック市場との連動性が高まっており、両者が再び収束に向かっていることがうかがえます。パブリック不動産は流動性と透明性が高く、需給や資本コストなどのファンダメンタルズの変化が早く把握できます。それに対して、プライベート不動産では、長期的なインカムが得られるだけでなくリースや再開発、およびオペレーションの改善を通じて価値を高めることが可能であり、特に再調達コストを下回る価格で推移している資産ではそれがいえます。パブリック不動産とプライベート不動産は、どちらも同じファンダメンタルズを反映しており、相補的に利用することにより、不動産サイクルのあらゆる局面で利益を獲得することができます。

小さいキャップレート・スプレッド:価格修正が最近生じたにもかかわらず、現在のキャップレート・スプレッドは、主な不動産セクターでは過去15年平均を下回る水準で推移しています。このことからわかるのは、バリュエーションは調整されたものの完全には正常化していないということです。今後のリターン源泉としては、全般的な価格上昇よりも、賃貸収入や高品質物件の所有が中心となる可能性が高く、これからは選別とアクティブ・マネジメントが重要になるでしょう。 

依然として長期平均を下回るスプレッド

現在のキャップレート・スプレッドはどの不動産セクターでも過去15年平均を下回る水準で推移

Bar Chart Comparing Current and 15-Year Average Spreads

出所:セクター別NAV:Green Street Advisors。キャップレート:NCREIF不動産指数、Federal Reserve Economicsおよびラッセル・インベストメント。2025年12月31日までのデータ。

想定される戦略:

不動産は今後ともポートフォリオの総合的なソリューションにおける必要不可欠な要素であり、賃貸収入を通じたインフレ保護機能や有意義な分散化効果を実現する手段となります。不動産分野内部での配分としては、パブリックとプライベートのエクスポージャーを併用することにより、市場のばらつきに対応することが可能となり、さまざまな投資機会が得られるほか、長期的な構造的成長というテーマの収益化も実現します。このような統合的手法を採用すれば、長期的なリターンの平準化が可能となるだけでなく、短期的な市場シグナルと長期的なファンダメンタルズの両面から利益が得られるようにポートフォリオを設定することもできます。

プライベート・インフラ

投資機会のユニバースが拡大し、投資資本に対する需要が大きい状況が続いています。また、需給の変化や地政学的なリスクの中で、安定したリターンが引き続き重視されています。

拡大する投資機会:運輸や電力などの分野から始まったプライベート・インフラの投資機会は拡大を続けており、現在では官民連携志向の医療施設や教育施設などの社会インフラも対象となっています。プライベート・インフラはデジタル・インフラ投資の分野にも及び、移動体通信インフラに始まってデータセンターへと拡大しました。インフラ投資の中でも新しいものとしては、さまざまな規模のデータセンター、産業用資産、医療施設、それらの施設を取り巻くインフラ、およびサービスプロバイダーなどがあり、安定したキャッシュフローとインフレ・パススルー機能に合わせたストラクチャーが採用されています。

デジタルの全領域を網羅:データセンターにおけるAI計算能力やそれを支える電力消費に対する大きな需要は今後も続くと予想されます。このエコシステムは、あらゆる規模のデータセンター施設、電力、地上接続およびモバイル接続を取り巻くインフラ投資にとって魅力的な状況を生み出しています。デジタルセクターの基本的トレンドは今後も継続すると考えられますが、ダウンサイド・プロテクションを構築し、需要供給の変化やハイテク企業の顔ぶれの変化による影響を緩和するには、経験豊富な運用会社のスキルの必要性が高まっています。

好調なペースでの資本供給:インフラ向けのプライベート資本供給は、投資家がリアルアセットへの資金配分を引き上げる中で、記録的水準を更新し続けています。インフラの投資機会は、対象となるセグメントが増加し、パブリックセクターからの既存資産の移転が続くことによって拡大し続けています。プライベート・インフラ投資は、インターネットの勃興以来最大級となる投資サイクルを支えると考えられます。

需要の急拡大はデータセンターが主導

世界の電力需要成長見通し ― 需要拡大をけん引する要因別に分析

Global power demand growth forecast bar chart

出所:Chart Bloomberg NEF now

想定される戦略:

最新インフラの成長は加速しています。現在は、データセンターとそれに関連する各種資産、官民連携主導の社会インフラ、および電力に資本を投入することが可能です。これらの投資機会はあらゆるリスク・リターン・プロファイルのインフラに及んでおり、現在のコア・プラス・およびバリュー・アッドのリスクプロファイルにおいて魅力的となっています。インフラは、インフレヘッジの特性を有することや、世界経済にとって重要であることにより、投資家のポートフォリオにおける戦略的な資金配分対象としての地位が高まっています。


お客様からのよくあるご質問

2026年のプライベート・マーケットは成熟度の高い投資サイクルの局面を迎えようとしています。プライベート・マーケットではこの数年にわたり資本の蓄積と拡大が進んできました。これまでは金融工学や金融的探求が中心でしたが、現在は借り換えの規律や収益化に重点が置かれています。投資家は、資本コストの上昇や借り換えの圧力、地政学的な分断、あるいは各セクターや運用会社間におけるばらつきの拡大といった状況に直面しています。 

非常に魅力的な機会が出現している分野は、強靭なキャッシュフロー、オペレーショナルな価値創造、AIやエネルギーシステムを支えるインフラ、資本が不足している分野における選別的なクレジット展開などを重視する戦略です。この環境下で成功を収めるためには、全般的なベータ・エクスポージャーよりも、運用会社のスキルや各セクターにおける専門性、および規律あるポートフォリオ構築が重要となります。 

プライベート・クレジットは引き続き魅力的な投資対象ですが、2026年については選別が非常に重要となります。2021年から2022年に組成されたローンのかなりの部分が、高金利環境下での借り換えを現在迫られており、これが信用サイクルの新たな局面となっています。市場の一部(特に個人投資家の資金が流入している米国ダイレクト・レンディング)は心理的な圧迫を受けていますが、機関投資家による投資は引き続き活発であり、良好な状況にあります。 

新たな投資機会が生じているのは、欧州ダイレクト・レンディング、オポチュニスティック・クレジット、再生可能エネルギー向けファイナンス、競争が少なく投資家が十分な利益を得られるスプレッド状況となっている一部のストレスト不動産クレジットなどの分野です。重要なことは、事業再構築やダウンサイド・プロテクションの能力を有しており、ボラティリティの高い状況でも資産を機動的に運用できる経験豊富な運用会社を重視することです。 

2026年のプライベート・マーケットは成熟度の高い投資サイクルの局面を迎えようとしています。プライベート・マーケットではこの数年にわたり資本の蓄積と拡大が進んできました。これまでは金融工学や金融的探求が中心でしたが、現在は借り換えの規律や収益化に重点が置かれています。投資家は、資本コストの上昇や借り換えの圧力、地政学的な分断、あるいは各セクターや運用会社間におけるばらつきの拡大といった状況に直面しています。 

非常に魅力的な機会が出現している分野は、強靭なキャッシュフロー、オペレーショナルな価値創造、AIやエネルギーシステムを支えるインフラ、資本が不足している分野における選別的なクレジット展開などを重視する戦略です。この環境下で成功を収めるためには、全般的なベータ・エクスポージャーよりも、運用会社のスキルや各セクターにおける専門性、および規律あるポートフォリオ構築が重要となります。

プライベート不動産は回復段階を迎えており、ばらつきが拡大しています。構造的な需要に支えられているセクター(賃貸住宅、物流、ヘルスケア、データセンターなど)は、新規の供給が制約を受けていることや、長期的なファンダメンタルズが堅調であることにより、急速に安定に向かっています。それに対して、オフィスや旧来の商業セグメントでは厳しい状況が続いており、クレジットやポジション調整の機会が一部で生じています。 

プライベート・インフラは、従来の運輸や電力といった分野以外への拡大が続いており、現在ではデジタル・インフラや社会インフラ、エネルギー系統なども対象となっています。データセンターや電力関連資産については、グローバルな需要が引き続き急速に拡大しています。インフレ保護機能や長期的なインカム、分散化効果を追求する投資家は、AI、電動化、サプライチェーンの強靭性といった長期的な構造的テーマに一致する資産を中心として、コア・プラス戦略やバリュー・アッド戦略により投資機会を得ることができるでしょう。