成功するCIOが実践する5つの習慣

2025-03-24

Peter Corippo

Peter Corippo

Managing Director, Fiduciary Solutions - Retirement




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Outsourced CIO | OCIO

以下は、2024年11月12日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文はこちら


概要:

  • 有能なCIOは、自分の仕事が最終的には他者を助けるためのものだと理解している 
  • 優秀なCIOは、最も重要なことから取り掛かる 
  • 有能なCIOは、自らのリソースを拡大する 
  • 力のあるCIOは、適切な人物に意思決定を委ねる 
  • 有能なCIOは、運用基本方針(IPS)を最大限に活用する 

私は、カリフォルニア州の公益企業で最高投資責任者(CIO)を20年間務めるなど、金融業界で数十年のキャリアを経験しています。その中で、多くの資産運用委員会の委員となり、あるいはそれらの委員会と共に働いてきました。そのため私は、当然ながら、投資制度の運営のベストプラックティスが組織ごとに極めて多種多様であることを知っています。また、それが完全に正常な状態だと考えていることも申し添えておきます。その理由は簡単で、各組織には独自の構造や使命あるいは運用目標があり、ある組織にとって重要なものが他の組織においても重要とは限らないからです。 

簡単にいえば、投資制度の運営に関する万能な手法はないということです。私は業界経験からこれを学びました。ただ、長年の間に、有能なCIOには共通の習慣があるということに気がつきました。そのうち、優れた意思決定につながると考えられる習慣は5つあります。以下では、この5つの習慣をご説明します。 

1.誰のために働いているかを忘れない 


私が挙げる習慣は特に順序を問うものではありませんが、最初に挙げるとすれば、「優秀なCIOは、自分が最終的には誰かのために働いていることを決して忘れない」ということでしょう。つまり、有能なCIOは、自らの仕事の目的が最終的に「他者が自身の資産を最大限に活用できるよう支援すること」にあるという本質を決して見失いません。CIOの仕事は、その内容が何であれ、最終的には誰かを助けるために行うものです。年金受給者の経済的保障を改善することも、最先端の研究を行っている大学の資産プールを拡大することも、財政難にある非営利団体の運営を支援することも全て同じです。 

長い目で見れば、CIOはこの本質を理解することで、自身の仕事に対する満足感を高められると私は考えています。特に、会議が次々と続き、やるべきことが山積するような多忙な時期には、その重要性がより一層際立つでしょう。そうした時期には、自分の仕事が誰かの投資目標達成に不可欠であることを、CIOはつい忘れがちになります。業界で最も優れたCIOとは、どれほど過酷な時期であっても、自らの仕事の最終的な目的を決して見失わず、その重要性を冷静に見つめ直せる人物だと私は考えています。簡単にいえば、このことによって組織の使命は受託者責任と結びついているのです。 

2.最も重要なことから取り掛かる 


多大な仕事量に対してリソースが限られている状況に、絶望的な気持ちになることもあります。私自身もCIOを務めた経験があるので、その大変さはよく理解しています。正直なところ、ほとんどのCIOは限られたリソースをはるかに超える膨大な仕事を抱えており、予定どおりに業務を完了させるのは非常に困難です。実際、毎日が手一杯で苦しいと感じることもあるでしょう。 

CIOを担当してしばらくたった頃、意外に簡単にこの問題を解決できることに気が付きました。当時の私には、やることリストを全てこなすような時間がなく、自分にとって最も重要ですぐやるべきことを選択する必要があったのです。言い方を変えれば、「投資制度を適切に運営するために、やるべき必要性が最も高い仕事は何だろうか?」「例えば資産配分方針の設定など、制度の適切な運営を大きく左右する具体的な作業はあったか?」ということになります。私は頭をひねり、やるべき作業を重要性の順に並べ替えた上で、リソース(外部、内部あるいはその両方 - この点は後述)をどのように活用すれば仕事が終わるかを次に考えました。 

このやり方がうまくいくことを示す実際の例として、企業年金制度の運営について考えてみます。CIOにとって、この作業(つまり制度のALM(Asset Liability Management)を適切に行うこと)は最上位のものであり、これを正しく行わなければ当該企業は投資制度を適切に運営できません。私はそのように考えています。つまり、組織のCIOにとって、資産配分とヘッジ戦略に注力することは何よりも重要性が高く、すぐに対応しなければならない作業だということになります。 

次の段階として、この例では、重要性がそれよりわずかに低い作業(ただし重要であることには変わりないもの)に目を転じます。例えば、あるCIOは、各種運用手法(アクティブとパッシブ、シングル・マネージャーとマルチ・マネージャー等々)を正しく評価すれば投資制度の目標の約90%が達成可能であると考えて、各種運用手法の評価については第2位の重要性であると判断するかもしれません。そのCIOは、何らかの作業(例えばリバランス、ヘッジ、アクティブ運用技術など)について、それを適切に対応すれば投資制度の目標の80%が充足されると考えた場合は、その作業の重要性を第3位と判断するかもしれません。以下同様です。有能なCIOは、このような優先順位付けの枠組みを使って、投資制度全体を検討していると私は考えています。 

以上をまとめると、優れたCIOは自分の限界(全てを自分で対応することができないこと)を理解しており、最も重要なことを優先して行うように切り替えることができると言えます。 

3.リソースを拡大する 


「限界」という点については、有能なCIOは制約を回避する方法を見つけるのが得意であることにも私は気がつきました。場合によっては、これは外部リソースへの依存度を高めることを意味するかもしれません。CIOが行った成功例として私が知っているのは、外部の投資ソリューション・プロバイダーと戦略的に提携することです。そのような提携により、CIOは重要な投資課題に関する責任を第三者に移転することができます。この場合、その第三者は本質的に内部スタッフの延長として機能します。 

通常は、この方法により内部のリソースが解放され、CIOの生産性が向上するとともに、投資制度に関する日常業務が停滞することも防止できます。外部プロバイダーに委任できる仕事の例としては、株式化、流動性およびリバランスの業務、エクスポージャー管理、債務連動型運用(LDI)実行サービスなどがあります。 

結局のところ、CIOはこのような戦略的提携を通じて、内部および外部のリソースを最大限に活用し、同じ目的に対してより多くの成果を上げることができるようになります。投資運用をより適切に行う方法として、これ以上のものはないと私は思います。 

4.最も多くの情報を持つ者に決定を行わせる 


私が気づいた有能なCIOの習慣の4番目は、受託者としての最良慣行の範囲内で、特定の問題に関する意思決定の権限を、その問題について最も多くの情報を持っている人物に委ねることです。もちろん、他者がこれを行えるかどうかは、全て第2の習慣によります。つまり、CIOが最も重要な作業を優先して行い、それ以外の作業を他者に委任する意思があるかどうかです。 

では、誰に委任するのがいいのでしょうか? また、それは組織の内部と外部、どちらに属する人でしょうか? 私の考えによれば、それはひとえに、その組織内の人員、リソースおよび専門知識によります。例えば、運用機関に関する決定(どの運用機関を採用しどれを解約すべきかなど)について考えてみましょう。その組織に本格的な資産運用委員会があり、さまざまな運用機関の違いを識別するリソース、関心および能力がその委員会にあるならば、その決定は委員会が行えるかもしれません。 

しかし、資産運用委員会にそのような能力がない場合は、運用機関への委託に関しては各資産クラス責任者の権限とするか、または第三者を導入することが理にかなっているかもしれません。例えば、運用機関に対する調査機能は投資ソリューション・プロバイダーに委任することが可能であり、その上で内部スタッフが候補の運用機関と面談し、リストの中から最良の候補ファンドを選別して採用し、委員会にその結果を報告することが可能です。この場合はその内部スタッフが情報および行為権限を持っています。別の例では、戦略的投資パートナーに対して全面的なアウトソーシングを行うことが妥当かもしれません。目先の作業を最終的に社内外のどちらで扱うかにかかわらず、意思決定に必要な情報を最も多く持っている者に権限を与えることにより、投資制度の運営を改善し効率化することができます。 

5.運用基本方針を適切に活用する 


最後に重要な点として、有能なCIOは自分の組織の運用基本方針(IPS)を最大限かつ適切に活用していると私は考えています。私が言いたいのは、優れたCIOは組織のIPSを単なる必要事項として扱うのではなく、投資制度全体の設計図として活用し、問題が発生した際には意思決定の指針としてIPSを活用する文化を育んでいるということです。 

もちろん、IPSが非常に長くて詳細でなければならないというわけではありませんが、私の考えでは、IPSは組織の投資制度の目的に十分に対応できる程度の詳細さが必要です。また、投資制度の目的に見合った資産プールの構成や、各目的を達成する責任がどの関係者(委員会、内部スタッフ、外部の資産運用機関など)にあるかについても、十分に対応していなければなりません。 

IPSは、報告体制の全体的なあり方を定めるために利用できます。これはどの作業をどの関係者に委任するかを明確に定め、また、作業を適切に実施するために担当者が満たすべき条件を明示することを意味しています。さらに率直に言うと、IPSには、運用機関や戦略的パートナーが全体像を正しく理解するために必要なことをすべて行っているかどうかを確認できるよう、十分な指針を定めるべきだと私は考えています。 

その障害となっているのは、IPSを具体的に記述しすぎると何らかの点で組織が面倒な問題に巻き込まれる可能性があるという懸念です。これについて触れないわけにはいかないでしょう。業界ではこのような懸念が少なくありません。そのため、多くのIPSが、詳細な規定を避けて非常に一般的な形で作られています。この方法の問題は、組織の投資制度の指針文書としてのIPSの有用性を大きく損なうことにあります。IPSを詳細に規定しすぎることへの懸念は理解できますが、組織にとっては、極めて一般的なものと極めて詳細なものの間を取ることが賢明ではないでしょうか。 

また、CIOにとっては、IPSを最新に保つことも重要であると私は考えています。つまり、制度に大きな変更があった場合は、必ずIPSを同様に変更する必要があるということです。優れたCIOであれば、IPSの変更を要するような大きい状況の変化があった場合には、それが変更するための重要なプロセスと考えるでしょう。IPSを定期的に見直すことは、まさに優れた受託者としての義務だといえます。 

また、IPSは後継者育成計画に関しても有用なツールとなります。こんなふうに考えてみてください。自分の組織のCIOが交通事故にあったり転職したりした場合、後継者は制度全体の運営状況をある程度把握している必要がありますが、IPSはそのロードマップとなり得ます。 

つまり、有能なCIOは、IPSの価値を理解し、IPSを程よく詳細に規定し、活用し、最新に保ち、報告の枠組みとしてIPSを利用するのです。優れたCIOはその点を理解して正確に実行するというのが私の見方です。 

結論 


最初にお伝えしたとおり、優秀なCIOには共通の重要な特性があると私は考えています。その中で私が最も重要と考えるのは、自分が誰のために働いているかを理解していること、最も重要なことから取り掛かること、リソースを拡大すること、最も適切な関係者に意思決定を委任すること、そしてIPSを最大限に活用することです。優秀で有能なCIOの特性としてこれが全てではありませんが、業界で最も優れたCIOはこの5つの特徴を日常的に発揮していると私は強く信じています。


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