「駆け足の市場」で、備えは万全か。

2025-05-01

Zach Buchwald

Zach Buchwald

Chairman & Chief Executive Officer




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以下は、2025年5月1日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文はこちら

アメリカのロックバンド「イーグルス」が『Life In The Fast Lane』で歌ったように、「駆け足の人生」はきっと人間の正気を失わせる。ドン・ヘンリーとグレン・フライがこの曲を書いたのは1976年のことだったが、当時は今とは対照的に、投資の世界は非常に穏やかであった。トランプ政権下における市場の変化はあまりにペースが速く、1970年代ののんびりとした景気後退が懐かしくすら感じられる。

現在の市場は目まぐるしく変動している。実際、ここ1ヶ月の年金資産の値動きを見ていれば、目の回るような思いをしたのではないだろうか。市場の急落とその後の反発も、これまでにないスピードで起きている。

市場のサイクルは確実に短くなり、変化のスピードも加速している。その背景のひとつには、投資家の投資手法がより洗練されたことが挙げられる。公開された情報はインターネットを通じて瞬時に広まり、アルゴリズムやAIが将来の見通しを立てる手助けをしているためだ。こうした展開は、トランプ大統領が4月2日に関税政策を発表した際にも見られた。発表からわずか数分間で、市場は急落したのである。

市場の反発の性質も変わりつつある。インターネット・バブルが崩壊した当時は、長期にわたりバリュエーションの調整が行われた。しかし、世界金融危機によって市場急落の性質は一変した。大幅な損失だけでなく、それに対する政策対応もかつてないほど大規模となったのである。新型コロナウイルス感染症による景気後退は、アメリカ史上最大でありながら、最も短期間で収束した。これは主に、政府が世界金融危機を経て整備した大規模な景気刺激策を導入したことにある。気づけば、景気の回復も下落と同程度のスピードで起こり得ることがわかったのである。

駆け足の人生

現在、市場はかつてないスピードで目まぐるしく変動しており、投資家は、調整と回復のサイクルがこれまで以上に短くなっている現実を目の当たりにしている。

S&P 500|最大の下落局面(%)

Japanese financial crisis comparison line graph with annotations

出所:ラッセル・インベストメント、LSEG Datastream、*ドローダウンの開始時点:2025年4月2日、2020年2月19日、2007年10月9日、2000年9月4日

 

市場変動のスピードが増した今、その動きを見極めるタイミングは今まで以上に難しくなっている。インターネット・バブルの崩壊や世界金融危機の際には、投資家は、例えば退職後の出費や学費の支払いが必要な時に市場から資金を引き揚げる十分な時間的余裕があった。また、市場の回復に何年もかかったため、再投資を行う時間的な余裕もあった。

こうした状況は、コロナ危機や現在の関税時代において劇的に変化した。急落と反発が目まぐるしいスピードで起こっているのである。したがって、市場から資金を引き揚げた投資家は、数日、時には数時間で起こる重要な反発を逃してしまう可能性がある。上のグラフからわかるとおり、市場の下落と反発の間隔を示すV字は、かつてないほどに狭くなっている。

4月9日、関税政策の発表による急落後、市場が大きく反発する兆しが初めて確認された。その後、上昇と下降の両方において激しい値動きが続いている。投資家は、新たな情報にこれまで以上に頻繁かつ迅速に対応せざるを得なくなった。途切れることのない24時間のニュース体制は、投資判断までもが24時間体制で求められる状況を生み出している。

その上、市場の反応も予測しづらくなっている可能性がある。市場の反応は実際のデータだけに依存しているわけではない。例えば、4月7日に関税の90日間停止について噂が流れたように、フェイクニュースも同様に大きな影響を及ぼしている可能性もある。市場はその噂を耳にした途端に上昇し、わずか数分後にそれが否定されると急落した。

こうした現実を踏まえ、投資家に対するシンプルなアドバイスは、「投資を続けること」である。反発を捉えるための最良の方法は、市場にとどまり続けることだ。短期的には痛みを伴うかもしれない。しかし、長期的には、投資を続けることが助けになる。世界恐慌や世界金融危機、コロナ危機のような最も厳しい時期でさえ、市場は上昇していく。関税の導入後も市場は上昇していくだろう。

投資を続けることには別のメリットもある。それは冷静さを保ちやすいという点だ。そう考えると、私たちはイーグルスの楽曲から、もうひとつ大切な教訓を学んだほうがいいのかもしれない。自分の立ち位置をしっかり定めて、あとは「気楽にいこう(Take It Easy)」ということだ。


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