以下は、2026年2月25日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文はこちら。
要点
- 運用機関は、メモリや半導体サプライチェーンに対するAIエクスポージャーを戦略的に維持しつつ、集中度の高いハイパースケーラー銘柄を削減しながら、企業向けAI導入企業へとローテーションしています。
- 一部の米国資本財・サービス銘柄や欧州銀行銘柄では、バリュエーションが上限に近づいていることから、選択的な利益確定が見られます。
- 生活必需品、ヘルスケア、損害保険会社などのクオリティ・ディフェンシブ銘柄は、目立たない形で、かつ数年ぶりの安値圏にある中で、買い戻されています。
- ブラジルは明らかにオーバーウェイトのポジションへと移行しており、中国へのエクスポージャーは引き続き厳しく選別されています。
ポジショニングの進化とともに楽観姿勢が強まる
株式運用機関は、厳しい市場環境の下で舵取りしています。市場の先導銘柄に対する集中度は高く、米国株と米国外株式の間には大きなバリュエーション格差が存在し、2026年第1四半期を通して政策の不確実性 も続いています。AI関連ポジションへの投資は依然として集中度が高く、金利サイクルは地域間で分岐し、景気敏感株内の銘柄間格差は拡大しています。同時に、産業設備投資は再加速しており、財政措置も需要の前倒しを促し始めています。
第1四半期が進む中で、アクティブ運用機関がどこに楽観を示しているのか、どこでリスクを削減しているのか、そしてどこに新たな機会を見出しているのかを検証します。メッセージは一貫しています。中核テーマへの確信は変わりませんが、インプリメンテーションはより規律的になっています。運用機関はエクスポージャーを拡大するのではなく、洗練させる方向にあります。
AIは引き続き中核テーマだが、エクスポージャーは変化している
運用機関は、より長期のデュレーションでのAI投資サイクルによる運用に引き続き安心感を持っています。自動化のアップグレードや先送りされていた投資の市場回帰に支えられ、資本財・サービスおよび製造業の支出は増加を続けています。
ポジショニングは、集中リスクを管理するための意図的な取り組みを反映しています。ハイパースケーラーや一部インフラ関連銘柄における過大なポジションは削減され、過去のリーダー銘柄では利益確定も見られます。2025年に急騰した初期段階のAI銘柄やSaaS銘柄は、多くのポートフォリオでアンダーウェイトのままとなっています。
より的を絞ったエクスポージャーへの資本の再配分が進行:
- グローバルなメモリメーカーは年末にかけて配分が大幅に増加
- アジアの半導体およびハードウェアのサプライチェーンで、処理能力、電動化、先端コンピューティングに関連する銘柄
- AI投資からの明確なリターンが見込めるAI導入企業およびサービス・インテグレーター
- 電子部品、素材、機械、建設分野における周辺的な恩恵銘柄
ロング・ショート戦略を採用する運用機関の間では、総AIエクスポージャーは年末にかけて季節的に縮小されましたが、ネットエクスポージャーは引き続き前向きな水準を維持しました。この変化は広範なデレバレッジではなく、ローテーションによるものでした。
したがって、運用機関によるAIサイクルへのコミットメントは変わりませんが、より厳格な投資姿勢と 収益の持続可能性に対する感応度の高まりが見られます。
景気敏感株はバリュエーションに対する規律を伴って上昇
金融および資本財・サービスセクターに対するセンチメントは引き続き改善しています。複数のバリュー志向の運用機関は、長年先送りされてきた設備投資を経て、アップグレードおよび更新のサイクルが形成されつつあると考えています。それでも、これらの投資家にとってバリュエーションに対する規律は依然として根本要素です。
反発の大部分を牽引してきた欧州の銀行および米国の資本財・サービス主要銘柄は、バリュエーション倍率が上限レンジに近づく中で、慎重に削減されています。運用機関は景気サイクルに対して引き続き前向きですが、ポジションサイズは再調整され、資本はより割高感の低い銘柄へと再配分されています。
ドイツの財政拡張は構造的なものと捉えられており、防衛、インフラ、およびニッチな産業・テクノロジー企業への配分を増加させています。
一方で、英国は逆張り的な投資機会として浮上しています。広範なバリュエーション格差とメガキャップAI銘柄への集中度の低さが、国内株および中小型株において差別化された投資機会を生み出しています。運用機関は、一部のテクノロジー銘柄に支配されにくい市場において、代替的な投資アイデアを模索しています。
クオリティおよびインカムの再評価
長期にわたるアンダーパフォーマンスを経て、選別されたボトムアップ投資家はクオリティ・ディフェンシブ銘柄を秘かに積み増しています。
これらの運用機関は、生活必需品、ヘルスケア、損害保険会社へのエクスポージャーを増やしています。これらの多くは数年来の安値圏で取引されています。配当による下支えと低ベータ特性は、魅力的なリスクリワードを提供しており、ポートフォリオにおいて景気敏感株エクスポージャーとファンダメンタルズの強靭さとのバランスを取る役割を果たしています。
持続的成長が見込まれるフランチャイズ企業も、スクリーニング上で良好な結果を示しています。多角化な金融、ニッチな設備機器企業、ならびに高所得層向けに展開する大規模な消費ブランドは、収益の持続可能性の観点から選好されています。
これらの消費関連銘柄の中でも、エクスポージャーはより細分化されています。旅行、リタイアメント住宅、プレミアムブランドに関連する企業が選好されています。一方で、中間層および低所得層に依存する企業は、より魅力的となるためには、より深いバリュエーション面での裏付けが求められます。
新興国市場は明確な分化を示す
新興国市場におけるポジショニングは、銘柄間格差の拡大とともに、より選別的になっています。
ブラジルは大幅な格付け低下を経て、明確にオーバーウェイト圏へと移行しました。グロースおよびバリュー双方の運用機関がエクスポージャーを増やしており、金融および資本財・サービスを選好しています。これは、利下げサイクルの進展と実質所得の改善に支えられています。
アジアでは、韓国への配分は依然として高水準にあります。運用機関は、特にメモリおよび先端処理サプライチェーンにおける重要なAIボトルネック(供給制約)を抑えている企業を模索しているためです。台湾も、次世代コンピューティングおよび電動化の観点から中心的な役割を果たしています。
運用機関は、中国については引き続き選別的な姿勢を高めています。収益回復が見込まれる企業や、自動化および先端製造分野で競争優位性を持つ企業に注目しています。ただし、不動産の過剰供給および市場の分断化が、より広範な確信を形成する上で重しとなっています。
ASEAN市場は逆風に直面しています。例えばインドネシアおよびフィリピンは、高い実質金利と政策波及の遅れに引き続き苦しんでおり、運用機関は慎重かつバリュエーションに敏感な姿勢を維持しています。
投資家への示唆
2026年が進むにつれ、株式運用機関は慎重ながらも自信を深めています。中核テーマは変わりませんが、インプリメンテーションはより洗練されています。AIエクスポージャーは集中度の高い主要銘柄を超えて広がり、景気敏感株はバリュエーションに対する規律の下で管理され、新興国市場への配分はアクティブな投資機会を提供しています。
市場の広がりが改善し、規律を伴った資金ローテーションが進む中で、アクティブ運用の意義はより強固なものとなっています。市場が集中する環境下において、投資機会を捉えつつリスクを管理するためには、銘柄選択とバリュエーション意識が引き続き重要となります。