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2026年第3四半期 アクティブ運用の最新動向:AIが投資機会を再構築

2026-08-07

Jonathan Woo

Jonathan Woo

Senior Research Analyst




以下は、2026年8月6日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文はこちら

要点

  • 運用機関は、AIを長期的な投資サイクルと捉える姿勢を維持する一方、投資対象をハイパースケーラーから、インフラ、企業向けソフトウェア、電力、産業分野の恩恵を受ける企業へと広げています。
  • 超大型IPO、ベンチマークの銘柄入れ替え、市場の集中度が高い状態の継続により、ポートフォリオ構築のあり方が変化しており、アクティブ運用の重要性が一段と高まっています。
  • AI関連の恩恵を受ける企業に資金が集中するなか、バリュエーションのばらつきが拡大しており、ヘルスケア、金融、資本財、生活必需品などに投資機会が生まれています。
  • 地域別の投資姿勢にも違いが鮮明になっています。欧州ではインフラ投資が追い風となり、日本ではアクティブ運用にとってより良好な投資環境がみられます。アジアは引き続きAIサプライチェーンの中核を担う一方、米国では一部の消費関連企業に選別的な投資機会が生まれています。

AIは引き続き最大の投資テーマ、投資対象はさらに広がる

運用機関は引き続き、AIを複数年にわたる構造的な投資機会とみていますが、その投資姿勢はよりきめ細かなものになっています。AI投資サイクルの初期段階では、ポートフォリオは主にハイパースケーラーや半導体大手、メモリー半導体メーカーに集中していました。現在では、AIの普及を支えるより幅広いエコシステムへと投資対象を広げています。

特に確信度の高い分野として挙げられるのが、発電、送配電網などの電力インフラ、冷却システム、ネットワーク機器、企業向けソフトウェア、産業用オートメーション、データセンターです。これらの企業は、AIのさらなる普及を支えるうえで重要な役割を担っており、巨大テクノロジー企業以外にもAI投資サイクルを捉える機会を提供しています。

AIを巡る投資機会が成熟するにつれ、運用機関は設備投資負担の大きさ、利益の持続性、収益化の進展をこれまで以上に重視しています。AIエコシステムの一部ではバリュエーションが高水準にあるため、業績が期待を下回った場合の許容余地は限られています。このため、投資テーマへの確信度だけでなく、規律あるインプリメンテーションも同様に重要になっています。

市場構造の変化が、アクティブ運用による差別化と超過収益の機会を生む

AIは市場構造そのものにも変化をもたらしています。市場の集中度が高い状態が続くなか、今後見込まれる超大型IPO、ベンチマークの銘柄入れ替え、パッシブ運用への継続的な資金流入により、指数の構成が変化しています。アクティブ運用機関にとって、こうした構造変化は、投資家のポジションが一方向に偏り、バリュエーション格差が広がるなか、新たな投資機会をもたらす一方で、ポートフォリオ構築における新たな検討課題にもなっています。

今後数四半期には、複数のAI関連企業が株式公開すると見込まれており、上場後早い段階で主要ベンチマークに組み入れられる可能性があります。同時に、ベンチマーク上の分類変更によって、一部の大型テクノロジー企業がグロース指数とバリュー指数の間で移行する動きもみられ、スタイル別ポートフォリオのベンチマーク対比の組入比率にも変化が生じています。運用機関は、市場の集中度が変化するなか、個別銘柄の組入比率やベンチマーク・リスクを見直すとともに、銘柄選択を差別化することによって最も付加価値を生み出せる領域を改めて検討しています。

運用機関は、こうした動きを単なるベンチマーク上のイベントとは捉えていません。指数構成の変化や、パッシブ運用による保有が一部の銘柄に集中することで、価格形成に歪みが生じる可能性があるとみています。こうした市場環境は、ベンチマークの組入比率にとらわれず投資機会を見いだすうえで、アクティブ運用の重要性を改めて示すものです。

バリュエーション格差の拡大で、AI以外にも投資機会

AIの恩恵を受ける企業に資金が集中した結果、市場全体ではバリュエーションのばらつきが大きくなっています。運用機関は、相対的に投資家の注目を集めてこなかった質の高い企業のなかに、有望な投資機会があるとみています。

ヘルスケア、生活必需品、金融、資本財などでは、底堅い利益、健全な財務基盤、良好なキャッシュフローを背景に、中長期的なリターンが期待できる企業がみられます。金融セクターでは、長年にわたる財務体質の改善と規律ある資本配分を経て投資妙味が高まっているほか、一部の資本財企業も、テクノロジー分野にとどまらない構造的な投資テーマの恩恵を引き続き受けています。

運用機関は、バリュエーション格差を活用するとともに、異なる投資テーマを組み合わせることで、よりバランスの取れたポートフォリオの構築を図っています。構造的な成長機会を捉えつつ、市場の他の分野においてもリスク調整後の投資機会を追求しています。

地域別の投資機会は、より選別色が強まる

地域別の配分においては、地域全体への一律の配分ではなく、それぞれ異なる投資要因を重視する傾向が続いています。欧州では、電化、防衛支出、オートメーション、AI普及を支えるインフラに関連する企業を選好する動きが強まっています。アジアでは、台湾の専門性の高いAIサプライチェーンや韓国のテクノロジー・エコシステムが引き続き重要な投資対象となる一方、金融セクターや企業改革の恩恵を受ける企業にも投資対象を広げています。

日本も、先進国市場のなかで際立った動きをみせました。期間中、日本株の運用機関の約55%がベンチマークを上回りました。バリュー株や高配当株が相場をけん引したことに加え、エネルギー関連銘柄の上昇も追い風となりました。他の先進国市場のように一部のセクターに相場上昇が集中し、アクティブ運用にとって強い逆風となったこととは対照的な展開です。ファクター間のバランスが比較的取れた市場環境も日本株市場の特徴となっており、アクティブな銘柄選択にとって良好な環境をもたらしています。

米国では、家計資産の改善や株式市場の上昇が個人消費を下支えするなか、一部の消費関連企業に前向きな兆候がみられ始めています。一方で、足元の相場上昇が、財務内容の劣る企業や投機色の強い分野にも広がっていることには注意を払っています。

新興国市場では、引き続き高い選別性が求められます。ブラジルでは、割安なバリュエーションと業績見通しの改善が投資判断を支えています。一方、中国では、不動産セクターの低迷や消費需要のばらつきが続くものの、オートメーションや先端製造業では個別に投資機会がみられます。地域を問わず、運用機関はマクロ環境を一括りに捉えた投資判断よりも、個別企業のファンダメンタルズを重視しています。

投資家への示唆

アクティブ運用機関は、長期的な投資判断そのものを変えるのではなく、ポートフォリオのインプリメンテーションをより精緻化しています。AIは引き続き構造的な成長テーマですが、その投資機会はAIの普及を支えるエコシステム全体へと広がっています。同時に、バリュエーション格差の拡大により、テクノロジー以外の分野でも有望な投資機会が生まれています。

また、市場構造の変化、ベンチマークの変更、市場の集中度が高い状態の継続により、規律あるポートフォリオ構築とアクティブな銘柄選択の重要性が一段と高まっています。投資機会がセクターや地域を越えて広がるなか、アクティブ運用が異なるリターン源泉を捉える余地も拡大しています。

よくあるご質問

いいえ。運用機関は引き続き、AIを長期的かつ構造的な投資テーマと捉えています。変化しているのは、投資アイデアの発掘方法です。最大手のテクノロジー企業に投資を集中させるのではなく、インフラ、企業向けソフトウェア、資本財、その他AIの普及を支える企業へとポートフォリオを広げています。同時に、バリュエーションや利益の持続性について、これまで以上に規律ある判断を行っています。

超大型IPO、ベンチマークの銘柄入れ替え、指数の集中度が高い状態の継続により、アクティブ運用ポートフォリオのエクスポージャーが変化しているためです。運用機関は、新規上場企業が主要指数に組み入れられるなか、こうした構造変化がベンチマーク対比のポジショニングや集中リスク、差別化された銘柄選択の機会にどのような影響を及ぼすかを検証しています。

ヘルスケア、生活必需品、金融、資本財などです。これらの分野では、底堅いファンダメンタルズを備えているにもかかわらず、投資家の関心がAI関連企業に集中したことで、相対的に注目されてこなかった企業がみられます。バリュエーション格差の拡大により、構造的な成長テーマへの長期的なエクスポージャーを維持しながら、質の高い企業をより妥当な価格で組み入れる機会が生まれています。

引き続き、地域を一括りにせず、選別的なアプローチを取っています。欧州ではインフラや電化に関連した投資機会がみられ、アジアは引き続きAIサプライチェーンの中核を担っています。ブラジルではバリュエーション面に投資妙味があり、米国では個人消費の改善を背景に一部の企業で投資機会が生まれています。一方、中国については、引き続き個別企業を慎重に分析することが重要です。