Global Market Outlook Q4 2021
グローバル・マーケット・アウトルック 2021年

 

10-12月期:Growing pains(成長期の痛み)

 

新型コロナウイルスのデルタ変異株、インフレ率上昇、中央銀行によるテーパリング(金融資産買い入れの縮小)といった材料が、投資家の不安をかき立てています。ラッセル・インベストメントでは、インフレが落ち着き、感染率も低下し、テーパリングがすぐには金融引締めにつながらないことが判明すれば、パンデミックからの回復を見越したトレードが再開すると見ています。債券より株式、グロース株よりバリュー株、米国株式より非米国株式を選好します。

※当内容は、市場動向につきましてラッセル・インベストメントが2021年9月28日 に発行した英文のレポートを抄訳したものです。

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headshot of Andrew Pease, Global Head of Investment Strategy

アンドリュー・ピーズ

投資戦略グローバルヘッド

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サイクル的には、バリュエーションの割高感を勘案しても、少なくとも今後12か月間は債券よりも株式を選好できる力強い回復局面であると考えています。

- アンドリュー・ピーズ

はじめに

ロックダウン後の回復段階は、「エネルギーに満ちた」少年期から、「悩みも痛みも多い」思春期へと移行したようです。ペースは落ちたものの成長を続けており、特に金融政策とインフレ見通しなど将来に対する心配事も絶えません。インフレ率は予想以上に高くなっていますが、これは昨年のロックダウン期に米国の消費者物価指数が下落したことによる「ベース効果」と、短期的な供給のボトルネック問題に伴う一時的なものと見られます。ラッセル・インベストメントでは、2021年中はインフレ率が高止まりするものの、2022年初頭には下落に転じると見ています。その場合、米連邦準備制度理事会(FRB)がテーパリングを年内に開始するものの、利上げについては2023年後半まで行われない可能性が高いと予想しています。

市場のもう一つの懸念材料は、感染力の強い新型コロナウイルスのデルタ変異株です。しかし、現時点の研究結果は、ワクチン接種により重症化を防ぐことができることを示唆しています。ワクチン接種率が世界中で上昇しており、新興国経済も先進国の勢いに追いつこうとしています。世界的な感染率の上昇は9月初旬にピークアウトしたようです。その結果、2021年末にかけて経済活動の再開が続くと見られます。北半球で冬が始まる頃の感染状況が試金石となりますが、ワクチンのブースター接種の開始により大規模なロックダウンは回避できる可能性があると考えられます。

サイクル(中期/景気循環)、バリュエーション(長期/割高・割安)、センチメント(短期/投資家心理)から成るラッセル・インベストメントの投資戦略決定プロセスにおいて、市場に対する見方は前四半期の当レポートで示したものからほとんど変わりません。世界株式全体のバリュエーションは、割高感が大変強い米国株式市場が他の株式市場の割安感で幾分相殺されているものの、総じてまだ割高圏にあると見ています。センチメントは買われ過ぎに近い水準を示唆していると見ていますが、熱狂的陶酔感(ユーフォリア)と評される危険な水準に近いとは考えていません。サイクル的には、バリュエーションの割高感を勘案しても、少なくとも今後12か月間は債券よりも株式を選好できる力強い回復局面であると考えています。このことはまた、グロース株よりバリュー株、米国株式より非米国株式を今後も有望視できる有力な材料になると考えています。

景気サイクル上は依然として回復段階

ロックダウン後の経済回復は力強く、多くの先進国の国内総生産(GDP)は2020年の底から二桁の成長率で拡大しています。サイクル上は成熟しつつありますが、依然として回復段階にあると見ています。これまで高い成長率を示してきたとはいえ、まだ多くの余剰生産能力が残っていると考えられるからです。その傾向は、米国におけるプライムエイジ(働き盛り)世代の雇用人口比率(人口に占める雇用者の比率)にも現れています。下図に示す通り、この比率は新型コロナウイルス感染拡大期における低い状態から回復しましたが、1990年代前半~2000年代の比較的緩やかな景気後退局面の水準に戻った程度です。ラッセル・インベストメントでは、今後数四半期にわたる米国労働市場の回復は、これまでの景気後退局面後の状況に類似してくると予測しています。

US employment-population ratio for prime-age workers

しかし、現在の米国の景気回復は、他の先進諸国よりも進んだ状態にあります。下図は、新型コロナ感染拡大前の2019年のピーク時に比べて、GDPがどこまで回復したかを示しています。米国のGDPは、新型コロナウイルス感染拡大前のトレンドよりは低い状態にありますが、同ピーク時対比では0.8%高い状態にあります。一方、ユーロ圏のGDPは2019年の同水準より2.5%、英国は4.5%低い水準にあります。ラッセル・インベストメントでは、米国以外で経済成長の大きな上昇サイクルが訪れ、これによって市場の先導役が世界の他地域に移行すると予測しています。

GDP in Q2 2021 relative to pre-COVID19 peak in 2019

2つの重要指標

前四半期の当レポートでは、インフレ率上昇に対するFRBの対応を予測するための2つの指標をご紹介しました。

1つ目の指標は、物価連動米国債(TIPS)の価格形成に基づく、5年/5年ブレーク・イーブン期待インフレ率です。5年後の時点で、そこから5年間の平均インフレ率がどうなっているかを市場が予測した数値です。この指標によると、投資家は2026年末から2031年末までの5年間のインフレ率を平均2.17%と予測しています。TIPSの利回りは消費者物価指数(CPI)に基づいていますが、FRBの目標インフレ率は個人消費支出(PCE)デフレーターで測定されます。両者は長期的にほぼ連動していますが、一般的にCPIインフレ率はPCEインフレ率より0.25%程度高くなります。ブレーク・イーブン率が2.75%であれば、市場はPCEインフレ率が5年後に2.5%以上になると見ていることを示唆していると考えられます。現在のところ、市場の予測インフレ率は、FRBが懸念している水準よりも十分低い水準です。

Watchpoint indicator  U.S. 5-year 5-year breakeven inflation rate

2つ目の指標は、アトランタ連銀の「賃金トラッカー」です。当指標は、インフレリスクについてやや悲観的なメッセージを発しています。8月には3.9%に達しており、FRBが賃金上昇に対するインフレの影響について懸念する目安となる4%に近い水準となっています。内訳としては、レジャーおよび接客サービス業などの未熟練な若年労働者の賃金上昇が大部分を占めています。つまり、この上昇は一時的な労働力不足が原因であり、経済活動が正常化すれば賃金上昇圧力も減退すると考えられます。しかし、今後数か月間は当指標を注視する必要があると考えています。

Atlanta Fed Wage Growth Tracker

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現在のところ、市場の予測インフレ率は、FRBが懸念している水準よりも十分低い水準です。

- アンドリュー・ピーズ

経済活動の再開に期待するリオープニング・トレードはまだ有効

長期金利を上昇させ、テクノロジー株よりも景気敏感株、グロース株よりもバリュー株への選好を強めるリオープニング・トレードは、昨年11月のワクチン開発成功のニュース以降、数か月間に亘って機能してきました。実際、バリュー株がグロース株をアウトパフォームし、イールドカーブのスティープ化も進みました。しかし直近の数か月では、デルタ変異株により景気回復が遅れるとの懸念から、これとは逆の動きが起こりました。投資家はそれまで債券市場に対してショートポジションをとるか、アンダーウェイトしていたために、影響はさらに大きくなりました。債券価格が上昇する中で市場での債券買い戻しを余儀なくされ、結果として債券利回りはさらに下落することになりました。

リオープニング・トレードは今後数か月のうちに再開すると見ています。バリュー株を構成する景気敏感株は、テクノロジーを中心とするグロース株よりも業績の改善度合いが大きくなっています。また、バリュー株はグロース株に比べて依然として割安と判断されます。金融株はMSCI World Value Indexで構成比率が最も高いセクターです。イールドカーブのスティープ化がさらに進行すれば、銀行の収益性が高まるため、金融株は恩恵を受けるでしょう。世界経済の成長がトレンドを上回り続け、デルタ変異株の脅威が減退し、債券の買戻しが完了し、中央銀行がテーパリングを開始すれば、長期金利は上昇すると考えられます。
経済成長の先導役が米国から他の地域に移行する過程では、リオープニング・トレードはさらに進むことになると見ています。米国市場はテクノロジー株の比率が高い一方で、非米国市場は景気敏感型のバリュー株の方がより高い比率を占めているからです。

新興国市場株式は、ワクチン開発成功のニュース以降は不振が続いていましたが、回復の兆しが見え始めています。不振の原因としては、MSCIエマージング・マーケット指数内のテクノロジー株の比率が相対的に高いことや、ワクチン接種の遅れが挙げられます。最近になって、中国経済の減速や、中国政府のテクノロジー関連企業に対する規制強化の圧力も受けることになりました。しかし新興国でのワクチン接種の普及が加速しており、中国の緩和政策実施の動きもあることから、成長見通しは近いうちに改善されると見ています。中国の規制については予想が困難ですが、中国のテクノロジー関連企業の株価は2021年2月から9月半ばにかけて他国のテクノロジー関連企業に対して約50%アンダーパフォームしており、リスクは株価に大部分織り込まれていると考えられます。

また、リオープニング・トレードが再開すれば、米ドルは下落する可能性があります。米ドル指数(DXY)は、ワクチン開発のニュース以降ほぼ横ばいで推移してきました。デルタ変異株によるリスクが減退し、インフレリスクも低下するにつれて、FRBがハト派的な政策を維持するだろうとの観測に投資家が自信を深めれば、米ドルは下落に転じることになると考えられます。米ドルは、世界経済が減速すると上昇し、回復期には下落する傾向があります。米ドルが弱含むと、非米国市場(特に新興国市場)にとっては追い風になると見られます。

リスク:ウイルス変異株、インフレ、中国景気の減速

主要なリスクとしては、デルタ株などの変異株に対してワクチンの効果が低い場合や、北半球の冬場に新型コロナウイルスの感染率が再上昇する事態が考えられます。現時点の研究結果は、ワクチン接種により重症化を防ぐことができることが示唆しています。イスラエルでは、ブースター接種によって新規感染率が抑えられているようです。

その他の注目材料は、インフレ率上昇と中央銀行の対応です。ラッセル・インベストメントは、インフレ率の急上昇は大部分が一時的なものと見られ、FRBをはじめとする主要国の中央銀行は、今後2年間は利上げを行わない可能性が高いと考えています。

中国経済については予想以上に減速するリスクがあります。貸出残高の伸びは今年に入って鈍化しており、最近の購買担当者指数(PMI)も弱含みとなっています。一方で、金融政策と財政政策はともに緩和的で、政府筋はさらなる刺激策も示唆しています。中国の政策の方向性や信用の動向は、今後数か月間に亘り重要な注目点となるでしょう。

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ラッセル・インベストメントのモデルは2022年のインフレ率がFRBが目標としている2%水準に戻ると予想しています。FRBは2023年後半まで政策金利を現状の水準で維持すると見られます。

- アンドリュー・ピーズ

地域別の所見

米国

米国経済は、2022年にかけてもトレンドを上回る成長を維持すると見られます。しかし、ビジネス・サイクル上の回復局面が成熟しつつあり、今後はこれまでのような大きな成長は望めないと考えています。これは企業収益に最も顕著に表れており、S&P 500®企業の一株当たり利益(EPS)は、前回の景気サイクルのピーク時より既に20%高い水準にあります。

ファンダメンタルズの強さが、株式市場における高値更新の支援材料となってきました。デルタ変異株の影響が減退しつつあり、児童へのワクチン接種が進む可能性もあることなどが今後の数四半期中に景気回復がさらに進むことへのポジティブな材料となっています。FRBは2021年末頃にテーパリングを開始する準備を整えつつあるようです。最初の利上げがいつ行われるかについては、来年のインフレ動向に左右されると見ています。ラッセル・インベストメントのモデルは2022年のインフレ率がFRBが目標としている2%水準に戻ると予想しています。FRBは2023年後半まで政策金利を現状の水準で維持すると見られます。

この見方において主要なリスクとなるのは、賃金インフレです。賃金上昇率は現在の景気循環局面としては非常に高く、企業の求人意欲も記録的であり、来年には余剰供給力がなくなってしまう可能性があります。米国10年国債利回りは緩やかに上昇し、9月半ばの1.37%から今後数か月間で1.75%まで上昇する可能性があると予想しています。

財政出動についての連邦政府内の協議が注目を集めており、金融市場にとっては税関連の法案が最も影響を及ぼすと見られます。法人税率引き上げが行われた場合、2022年のS&P 500企業の企業収益は4%減少すると予測されます。そしてこのことは、市場におけるボラティリティと投資機会の両方をもたらす可能性があります。景気サイクルに対するポジティブな見通しに基づき、リスクオンが継続し、中期的には債券よりも株式に対する選好が持続する見通しを保持しています。

black and white map of United States

ユーロ圏

ユーロ圏の経済成長は第3四半期に減速しましたが、第4四半期から2022年にかけてはトレンドを上回る水準に回帰すると見られます。ユーロ圏はワクチン接種率が高いため、回復への潜在力が他の主要諸国(特に米国)よりも大きい可能性があります。また、ユーロ圏は他地域よりも大きい財政支援を受ける見通しで、南欧諸国に対してはEUの新型コロナ復興基金による支援金の分配が始まったばかりです。9月26日のドイツ連邦議会選挙の直前世論調査によれば、中道左派政党が優勢なため、新政府はより拡張的な財政政策や、欧州中央銀行(ECB)のハト派スタンス継続を支持する可能性が高いと考えられます。

欧州株式を示すMSCI EMU指数は、2021年はS&P 500指数とほぼ同等のパフォーマンスを示してきました。ラッセル・インベストメントでは、同指数は今後数四半期中にS&P 500をアウトパフォームする可能性があると見ています。欧州株式は、金融セクターに加え、資本財・素材・エネルギーなどの景気敏感セクターの比率が高く、テクノロジー関連株の比率はあまり高くありません。そのため、デルタ変異株の脅威が去り、欧州における経済活動が活発化し、イールドカーブのスティープニングが進むような状況になれば、米国株式に対してアウトパフォームする可能性を秘めていると考えています。

black and white map of Europe

英国

年央の時点では、英国のGDPは新型コロナウイルス感染拡大前のピークを約4.5%下回っている状態でした。国境が再び完全に開放され、経済活動も正常化するにつれ、マイナス分を取り戻す成長の勢いがあらゆる方面で見られるようになりました。サプライチェーンのボトルネックと労働力不足の問題により、それまでのインフレ傾向がさらに強まり、イングランド銀行(BoE)が2022年前半にも利上げに踏み切るとの懸念があります。しかしラッセル・インベストメントでは、BoEはそこまで積極的ではないと考えています。サプライチェーンの問題が緩和されれば、現在のインフレは2022年初めにも落ち着くと見られることから、BoEは利上げの時期を遅らせる可能性が高いと見ています。

FTSE 100指数に表れているように、2021年後半の英国株式市場は主要先進国の中で最も割安感があり、今後10年間においては他の市場と比べて最もリターンが高くなる可能性があると見ています。英国企業の企業収益の約70%は海外に由来するため、英ポンド高がさらに進むと、利益成長率が低下するという短期的なリスクがあります。上他のリスクとしては、主にBoEによる金融引締め政策への転換が早過ぎるなど政策上の誤りが考えられます。

black and white map of United Kingdom

日本

日本では、ワクチン接種率の上昇によって人の移動が活発になり、活動制限のリスクも減少するため、経済が勢いを回復すると予想されます。ワクチン承認と普及の遅れが緊急事態宣言の発出を招き、サービス部門の活動を制約してきました。これらの制約が取り除かれれば、2022年にかけて経済活動が再開され、これらのサービス部門も後押しされることになると見られます。また、菅首相の退任に伴う政治的リーダーシップの変化も、経済にプラスの影響を与える可能性があります。自民党総裁選の候補者達は、より積極的な財政支出を支持しており、日本経済のデジタル化の推進にも力を入れています。日本株式は英国や欧州などの他の地域に比べてやや割高感がありますが、2022年3月期の企業業績は非常に好調なものと予想されます。他の中央銀行に比べて、日銀の金融政策の正常化が大きく遅れることになるとの見方には変更ありません。

black and white map of Japan

中国

中国の経済成長は、ロックダウン後の消費者支出の増加や、財政政策および金融政策の段階的な緩和に支えられ、今後12か月は堅調と見られます。ワクチン接種率は大きく改善しているものの、中国政府のゼロ・トレランス(不寛容)政策を考慮すると、新型コロナウイルスの感染拡大は引き続きリスクであるといえます。主要なテクノロジー関連企業の株価は、最近の規制強化を受けて、大きく値下がりしています。特にテクノロジー関連企業に対する規制上の動向には不透明感があり、ラッセル・インベストメントでは今後数か月間、投資家は中国株式への投資について警戒感を持ち続けると見ています。不動産市場、特に最近の債務危機で注目されている恒大集団のような不動産デベロッパーは引き続きリスクが高く、ラッセル・インベストメントでも注視しています。

black and white map of China

カナダ

カナダはG7諸国1の中で最もワクチン接種が進んでいる国であり、冬場の大規模なロックダウンのリスクは低いと見られます。しかしデルタ変異株の影響は受けており、2021年GDP成長率の市場予測値も3か月前の6%以上と見込むものから現在では5%に下がっています。それでも、経済成長は引き続きトレンドを上回っており、景気を下支えする追加財政支出が行われる可能性も高まっています。これは、新型コロナウイルス感染拡大により成長が鈍化しても、カナダ銀行(BoC)の金融引締め方針が変わる可能性は低いことを示しています。

テーパリングは、2022年第1四半期末までには完了すると見られます。BoCのティフ・マックレム総裁は、BoCが保有する(満期を迎える)債券への再投資については量的緩和が終了次第始まるだろうとの見解を示しています。これによって、BoCの債券購入は、現在の週20億カナダドルのペースから週10億カナダドルまで減速すると見られています。BoCがバランス・シートの縮小を考えるのは、利上げに踏み切った後になると予想されます。BoCは、需給ギャップは2022年後半内に縮小すると予測しており、実際にギャップが解消されて以降利上げについて検討する模様です。ラッセル・インベストメントでは、このタイムラインはややアグレッシブ過ぎ、利上げは2023年まで延びる可能性が高いと見ています。その方がFRBとの歩調を合わせられると考えられるからです。

black and white map of Canada

オーストラリアおよびニュージーランド

オーストラリアでは、ロックダウンが10-11月に緩和される見通しで、経済も回復に向かっています。消費者や企業のバランス・シートも健全性を保っており、これによって経済回復も力強いものになると見込まれます。2022年には国境が再開され、経済はさらに加速すると見られます。景気後退時においても財政政策が経済を下支えしており、2022年末までに実施される総選挙に向けて、さらなる財政支出が行われる可能性もあります。オーストラリア準備銀行は債券買い入れのテーパリングを既に始めていますが、政策金利(キャッシュ・レート)の引き上げは少なくとも2023年後半まで行わないと見られます。

ニュージーランドでは、直近のロックダウンが第3四半期GDPの足を引っ張る形となりましたが、オーストラリアと同様、経済活動再開に伴い堅調な経済回復が見込まれています。政府は2021年末までにすべての成人に対してワクチン接種を行うことを目指しており、その後徐々に国境も再開される見通しです。これが実現すれば、特に観光関連セクターの回復が見込まれます。直近のロックダウンによって利上げは延期となりましたが、ニュージーランド準備銀行は今年中に利上げを開始すると見られます。ニュージーランド株式は今年、グローバル株式に対して大幅にアンダーパフォームしていますが、他地域株式に比べると幾分まだ割高感が認識される水準にあると考えられます。

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ラッセル・インベストメントのモデルは2022年のインフレ率がFRBが目標としている2%水準に戻ると予想しています。FRBは2023年後半まで政策金利を現状の水準で維持すると見られます。

- アンドリュー・ピーズ

資産クラスの選好

サイクル(中期/景気循環)、バリュエーション(長期/割高・割安)、センチメント(短期/投資家心理)から成るラッセル・インベストメントの投資戦略決定プロセスにおいて、2021年9月下旬の時点では世界株式を中期的にややポジティブと評価しています。世界株式全体のバリュエーションは、適正水準に近いと判断される英国株式を除いて割高感が認識されます。景気サイクルは、中期的にリスク資産を下支えする状況と見ています。主要国経済には依然として余剰生産能力があると見られる中、インフレ圧力は新型コロナウイルス感染拡大による一時的な供給力不足が原因と考えられます。米FRBによる利上げは、2023年後半までは行われないと見られます。今年になり「買われ過ぎ」の水準に達したセンチメントも、現在では中立に近い水準に戻っていると考えています。

Composite Contrarian Indicator: Sentiment shifts toward neutral

Q3 GMO 2020 Asset Performance

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7-9月期における景気減速の後、経済は再加速し、イールドカーブもスティープニング化することで、割高感が認識されるテクノロジー関連のグロース株に比べて、景気敏感特性のある割安なバリュー株が選好されると見ています。

- アンドリュー・ピーズ

1 G7(ジーセブン)とは国際的な政府間組織であり、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国で構成される。

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