2021 グローバル・マーケット・
アウトルック

グローバル・マーケット・アウトルック 2021 年:旧常態(THE OLD NORMAL)

新型コロナウイルスに対するワクチン開発の見通しは、2021年を世界的な景気回復が進む年にする可能性が高いと考えています。市場は好材料のかなりの部分を織り込み済みであると考えられるものの、企業収益の回復と金融緩和政策が続く中で株式市場には上昇余地が残るとみています。

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headshot of Andrew Pease, Global Head of Investment Strategy

アンドリュー・ピーズ 

投資戦略グローバルヘッド

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景気と企業業績の中期的な見通しについても、ラッセル・インベストメントではポジティブに見ています。景気サイクルは、景気後退後の回復初期段階を迎えています。これは低インフレ、低金利成長の期間が長引き、債券よりも株式が恩恵を受けることを示唆しています。

- アンドリュー・ピーズ

はじめに

2020年はサプライズの年でした。新型コロナウイルスのパンデミックが瞬く間に広がり、厳格なロックダウン(都市封鎖)が敷かれるなか、各国政府は大規模な景気刺激策を取り、株式市場は大幅に反発しました。なかでも最大のサプライズは、世界株式が11月末時点で年初来約12%も上昇している点です。世界的なパンデミックの期間中に、この結果を予測できた者は殆どいませんでした。米国大統領選挙が終わり、効果的なワクチンの開発が進むなか、投資家は強気になっており、S&P500®指数を過去最高値まで押し上げています。

同様に、景気と企業業績の中期的な見通しについても、ラッセル・インベストメントではポジティブに見ています。景気サイクルは、景気後退後の回復初期段階を迎えています。これは低インフレ、低金利下の成長期間が長引き、債券よりも株式が恩恵を受けることを示唆しています。しかしながら、短期的にはリスクも存在します。ワクチンに関する発表を受けて、投資家心理が過剰に楽観的になってきており、市場はネガティブなニュースに対して脆弱になっています。悪材料としては、欧州や北米における新型コロナウイルス感染者数の増加を受けた再ロックダウン、ワクチンを供給する際の物流上の問題、そして早すぎる政府による支援策の終了によって2021年前半の経済がマイナス成長に陥る可能性などが挙げられます。地政学的には、バイデン新政権の発足に伴い、中国、イラン、ロシアからネガティブ・サプライズがもたらされる可能性も否定できません。

ラッセル・インベストメントの景気サイクル(中期/景気循環)、バリュエーション(長期/割高・割安)、センチメント(短期/投資家心理)(CVS)の3つの柱から成る投資戦略決定プロセスは、グローバル株式が割高圏にあり(割高感が強い米国市場が他の市場の割安感を相殺)、センチメントは買われ過ぎ圏にある可能性を示唆し、サイクルは支援的であることを示しています。これを踏まえ、ラッセル・インベストメントは、株式市場に対して短期的には若干慎重な見通しを有しているものの、中期的にはややポジティブで、バリュエーションにある割高感は好調な景気サイクルの見通しによって相殺されるとみています。

総じて、ラッセル・インベストメントでは、2021年の各資産クラスの見通しを以下のように見ています。

  • 株式が債券をアウトパフォーム
  • 長期国債利回りは上昇するものの、長引く低インフレおよび各国中央銀行が緩和スタンスを継続すると見られることから、イールドカーブのスティープ化は限定的となる公算が大きい。
  • 為替相場は、非景気敏感特性から米ドル安が進む可能性が高い。
  • 米国以外の株式は、景気敏感特性およびバリュエーションが相対的に割安であることから、米国株式をアウトパフォームする可能性がある。
  • バリュー・ファクターがグロース・ファクターをアウトパフォームする可能性がある。

経済活動等が通常の状態に戻るタイミングが2021年の下半期までに到来すれば、11月上旬に始まったテクノロジー/グロース株主導から景気敏感/バリュー株主導へのローテーションは長期化することになるとみています。新型コロナウイルスのパンデミックの間、テクノロジー/グロース銘柄は企業収益の増加および割引率の低下が追い風となり上昇しましたが、これらの追い風は、ワクチンが実用化されロックダウンが緩和されれば、向かい風に変わるものと考えられます。結果的に、サイクル初期の回復が再開し、通常に近い経済活動に戻る局面で、その恩恵を受ける可能性の高い比較的割安なバリュー銘柄や非米国株式へのローテーションが進むものと思われます。

ポストコロナの脆弱性

世界の主要経済は、大規模な金融・財政支援策に支えられ、長期的にはパンデミックとロックダウンから思っていたほどの大きな打撃は被っていません。多くの国で、賃金補助金と雇用維持制度によって失業率の大幅な上昇が抑えられています。米国では、第3四半期の倒産件数と消費者ローンの延滞率が前年同期比で低下しており、接客サービス、観光、運輸、小売などのセクターは大きな打撃を受けたものの、企業や家計のバランスシート全体が被ったダメージは、今のところ、大規模なロックダウンにもかかわらず比較的限定的なものとなっています。

パンデミックによるダメージで特筆すべき最も大きな点は、政府債務の増加です。国際通貨基金(IMF)の予測によれば、G7諸国の政府債務がGDPに占める割合は 2020年に23%増加することが見込まれています。政府債務の上昇は、金利上昇に対する政府財政が脆弱になることを意味しています。今後数年間で大きな問題になることはないと見られるものの、いずれは余剰生産能力が底を突き、インフレ率が上昇し始めると見られ、そうなった時には問題になることが予想されます。

政府が増税と歳出削減を即座に実行することで、景気回復が鈍化するとの思惑もありますが、これは喫緊に起こりそうなシナリオではありません。下の2つのグラフは、債務水準が上昇しているにもかかわらず、すべての経済大国で純支払利息が減少傾向になるとの予測を示しています。日本政府の負債総額はGDPの250%を超える見込みであるものの、純支払利息は2023年にはほぼゼロにまで低下する見通しです。これは日本国債の3分の2が、マイナスの利回りであることを反映しています。

Composite contrarian indicator

Composite contrarian indicator

※当資料内における予測値は過去のデータによる試算であり、当資料のいかなる記述も将来の投資収益等の示唆あるいは保証をするものではなく、またその結果の確実性を表明するものではありません。

国債利回りが有意に上昇し、市場が債務の持続性について疑問を呈するまでは、政府は債務削減のプレッシャーを感じることはないと見られます。このため、ラッセル・インベストメントでは、緊縮財政と金融政策の引き締めはまだ数年先になると考えています。

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ラッセル・インベストメントの景気サイクル、バリュエーション、センチメント(CVS)の3つの柱から成る投資戦略決定プロセスは、グローバル株式が割高圏にあり、センチメントは買われ過ぎ圏にある可能性を示唆し、サイクルは支援的であることを示しています。

- アンドリュ–・ピーズ

債券利回りと株式のローテーション

上向く国債利回り

長期国債の利回りは、ワクチン主導の回復によって2021年には上昇圧力を受ける可能性が高いとみています。ただし、各国の中央銀行がハト派寄りの政策を取り、大部分の国々で依然として大きい需給ギャップを背景にインフレ圧力が抑えられていることから、利回りの上昇は限定的になるとみています。主要な中央銀行は、インフレ率が上昇するまで利上げを行わないことを明確にしています。これは、最近になって米国連邦準備制度理事会(FRB)が平均インフレ目標を導入し、2%のインフレターゲットの一時的なオーバーシュートを容認したことで注目されました。慎重なFRBは、現在0.85%水準にある米10年物国債利回りの上昇を、1.1~1.4%の間に抑えると考えられます。ドイツ国債および英国債の利回りについても同様で、0.25~0.50%の上昇であれば妥当な範囲のものと考えられます。日本銀行が引き続きイールドカーブをコントロールしている日本国債の利回りについては、ゼロ近くに留まる公算が大きいとみています。

ローテーションが継続する株式市場

11月上旬の新型コロナウイルスに対するワクチン開発成功との発表を契機に、テクノロジーセクターのウェイトが高いグロース株から景気敏感特性のあるバリュー株へのローテーションの兆しが現れてきています。ロックダウンはテクノロジー株に2つの恩恵をもたらしました。1つ目として、消費者が在宅勤務をし、オンラインで買い物をし、テクノロジー機器を購入したことで、企業業績が押し上げられたことが挙げられます。2つ目の恩恵は、国債利回りの低下です。テクノロジー株への投資は、企業収益拡大に要する期間が長いことから、デュレーションの長い投資とみなされており、割引率となる債券利回りが下落したことによって将来の期待収益の現在価値が上昇しました。

テクノロジー株からのローテーションは、2021年にかけて続く可能性が高いと見られます。ロックダウンによるテクノロジー株の業績押し上げ効果はピークアウトしており、パンデミックにより一部のテクノロジー関連支出が前倒しされたことから、今後数四半期にかけて需要が減退する可能性が考えられます。また、債券利回りの上昇も、テクノロジー株にとって向かい風になります。対照的に、世界的な景気回復と債券利回りの上昇は、バリュー株や景気敏感株への支援材料になります。バリューインデックスの中で高いウェイトを占める金融銘柄は、イールドカーブのスティープ化による収益マージンの改善および貸出の伸びによる収益自体の改善から恩恵を受けると見られます。銀行株のバリュエーションは、2020年後半時点で世界的に市場平均に比して大幅に割安と判断される水準で取引されています。

ワクチン完成後の景気回復局面では、非米国株式が米国株式をアウトパフォームするとみています。S&P500指数は、グロース・ファクターの大部分を占めるテクノロジー株とヘルスケア株のウェイトが高く、世界のその他の地域は、バリュー・ファクターを構成する金融株と景気敏感株のウェイトが高くなっています。投資家は、通常の経済活動に戻った際に恩恵を受ける比較的割安なバリュー株や非米国株株式を選好する可能性が高まるとみています。

リスク:ロックダウン、ワクチン供給の遅れ、過度な楽観論

金融市場を見通す上での懸念のうち、ワクチン開発の発表と米大統領選を巡る不確実性という二つのリスクが後退、足もとの主なリスクは、ワクチン開発発表後の投資家の楽観度に集約されつつあります。ラッセル・インベストメントが参考にしている独自のコンポジットコントラリアン・センチメント指標は、12月初旬現在、買われ過ぎと判断される水準に達してこそいないものの近づきつつあります。投資家は今後一段の株価の上昇に向けたポジションを取っており、市場は失望的なニュースに脆弱な状態にあると考えられます。失望的なニュースとしては、足もとのウイルス感染者数の増加や、政府による景気支援策の期限が到来し延長されない場合に2021年前半に潜在的な需要不足に陥ることなどが考えられます。特に以下の点は、注視する必要があるリスクと考えています:

  • 全米で感染率が上昇しています。ニューヨークでは学校が閉鎖されるなど、ロックダウンの範囲がさらに広がるリスク。
  •  最近のロックダウンを受けて感染率こそ低下傾向にある欧州において、2021年前半にロックダウンが解かれた際に、感染者数が再び増加するリスク。
  • 2021年も共和党が米国上院の主導権を引き続き握ると見られることから、バイデン次期政権が財政刺激策を進めるにあたり議会交渉が困難になり、刺激策の規模が縮小される上、実施時期も第1四半期後半にずれ込み、結果として2021年第一四半期に、米経済が再びマイナス成長に落ち込むリスク。

2021年の株式市場にとってのもう1つのリスクとして、債券利回りの上昇が挙げられます。経済成長見通しの改善が債券利回り上昇の理由であれば、株式市場が乗り切ることもありますが、0.5%を超える上昇幅となった場合には、株式市場にとって試練となる可能性があります。テクノロジー株は、割引率の低下によりバリュエーションが大幅に押し上げられました。大型ハイテク株がS&P500指数の時価総額の約25%を占めており、2020年の年初から11月にかけての市場全体の上昇のほぼすべてはこれらの銘柄によってもたらされました。債券市場主導でテクノロジー株が反落すれば、S&P500指数の残り75%が上昇したとしても、市場全体が伸び悩む可能性も考えられます。

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地域別の所見

 

米国

ラッセル・インベストメントは、米国の経済見通しについて、強気の見方を継続します。今後2つの異なる段階を経由する可能性が大きいと考えています。最初の段階は、北半球の冬の時期に重なる向こう数か月間、新型コロナウイルス感染拡大が全国規模で起こり、地域レベルでの局所的なロックダウンが行われるなど、厳しい局面が予想されます。今度のロックダウンは、95%の米国人が自宅に留まる指示に従っていた4月のような状況にはならないと考えられるものの、年末にかけて好調だった景気回復のペースが鈍化することが予想されます。ワクチンが完成した後の段階では、経済は再び強いV字型を描いて回復基調を辿ることが期待され、2021年の実質GDP成長率は5%をも上回ることが予想されます。ワクチンが幅広く利用可能になれば、パンデミックによる影響を大きく受けた業種(飲食、旅行、宿泊施設など)を中心として、2021年下半期には力強い回復が予想されます。この間、米国連邦準備制度理事会(FRB)は引き続き超緩和的な政策を維持する構えです。2021年の景気は底堅い回復が予想されるなか、FRBはインフレのオーバーシュートを容認していることから、景気拡大のための助走は十分に図られ、拡大局面はより強く広範に及ぶ可能性があると考えられます。最も大きな3つの問題は、米国株式市場における集中リスク(構成銘柄が「ステイホーム」関連の超大型テクノロジー株に偏っている)、若干割高感が出てきている株式と債券のバリュエーション、そしてますます楽観度が増している市場のコンセンサスです。

black and white map of United States

ユーロ圏

ユーロ圏では、第3四半期に顕現しつつあったV字回復が新型コロナウイルス感染の第2波に妨げられ、第4四半期における当地域のGDP(国内総生産)成長率はマイナスとなる見通しです。しかし、再度のロックダウンは効果を発揮しており、11月上旬が欧州全域における感染拡大のピークとなりつつあります。クリスマスに向けて、一部の国ではロックダウンが緩和されているものの、今後の見通しとしては、ワクチンが実用化されるであろう来春位までは、感染拡大とロックダウンが繰り返される可能性が高いと考えられます。欧州経済は、パンデミックの大打撃を受けたために低い経済活動水準からの回復となり、ワクチン完成後は強い回復が期待されます。欧州はまた、米国よりも世界貿易への感応度が高く、中国からの需要増大の恩恵も受けるとみられます。

MSCI EMUインデックスで測る欧州株式の過去5年間の上昇率は、米国株式に比して劣後していることからも、2021年にはS&P 500®指数をアウトパフォームする可能性があるとみています。鉱工業、素材、エネルギーなどの景気敏感セクターや金融セクターの割合が高く、テクノロジーセクターの割合が低い欧州株式は、ワクチン完成後の経済活動が持ち直し、イールドカーブがスティープ化する段階で、米国株式をアウトパフォームする可能性が高いと見ています。

black and white map of Europe

英国

新型コロナウイルスとブレグジットの不確実性が英国への打撃となっており、2020年の同国のGDP成長率は11%のマイナス成長となる見通しです。しかしながら、ワクチンの供給とブレグジットを巡る通商交渉の行方によっては、英国経済は2021年に世界の中でも最も大幅な景気回復のひとつを実現することになり、GDP成長率が+6~7%となる可能性もあるとみています。より長期的には、ブレグジットの結果、サービス業に対する非関税障壁が成長の足枷になることが懸念されるものの、GDP成長率の回復を促進する循環的な力が今後数年間はより大きな影響を及ぼすことになると考えられます。

景気回復期にもイングランド銀行は政策金利を据え置く可能性が高く、英国債の利回り上昇は米国債並みに留まると見ています。2020年の世界株式市場の中で、FTSE100指数は年初来で最も低位のパフォーマンスとなっています。しかし、2021年の英国株式は相対的に上位に位置するリターンを実現する可能性があるとラッセル・インベストメントでは考えています。これは、英国株式市場が他の市場と比べ総じて割安と判断されること、また、世界経済回復の恩恵を最も受けるであろう金融、素材、景気敏感セクターの比率が他の株式市場よりも高くなっているからです。

black and white map of United Kingdom

日本

日本については、新型コロナウイルス感染症の流行がそれほど深刻でないにもかかわらず、パンデミックからの回復が他の先進経済圏よりも遅れる可能性が高いと見ています。これは、高齢化の進展に伴う消費の抑制など、パンデミック以前からあった構造的な脆弱性を反映しているものです。高齢者層のパンデミックに対する慎重な姿勢から人の動きはまだ緩慢なものとなっています。

菅義偉新首相の政策上の優先事項は、来年初の重要な注目点となります。菅首相は、すでに設備投資促進税制の拡充など中小企業の生産性向上改革に関心を示していますが、日本の中小企業の生産性の低さを考えると、これは大きな支援材料となることが期待されます。

2021年に開催されるとすれば、東京オリンピックも経済の押し上げ要因となります。ただし、規模が縮小される可能性が高いことから、当初の予想よりその効果は小規模になると見られます。

black and white map of Japan

中国

中国経済は、パンデミック前の生産レベルまでほぼ回復しており、第1四半期の景気後退の深さを考えると大きな進展を見せています。IMFは、他の経済大国は少なくとも2022年までコロナ禍以前の経済水準に戻らないと予想しています。

消費は生産に追いつきつつありますが、これは政府の政策を見通す上で重要なポイントとなります。中国政府は「双循環」という概念に重点を置いています。これは輸出および資本投資依存型経済から内需主導型経済への転換を図り、経済のバランスを取り戻すことを狙った政策です。政府は、中国が中所得国の罠に陥らないためにこの移行が必要だと考えています。

政府と中国人民銀行は、景気刺激策の規模を減らすタイミングについて話し合ってきました。今後の経済対策としては、金融政策から財政刺激策への移行が継続される可能性が高く、2021年を通じて政府は消費支援も継続しつつ、支援的な財政政策を維持するものと見られます。2021年3月に予定されている全国人民代表大会では、追加的刺激策が発表される可能性もあると見られます。

米中貿易戦争に関しては、バイデン次期米国大統領の下では激化はしないと予測されるものの、トランプ大統領以前の対中関係に戻るとも考えていません。今後を占う重要な注目イベントとして、以下の二つが挙げられます。第一の注目点は、バイデン次期大統領と習近平中国国家主席との最初の会談、そして現行の関税と第1段階の貿易合意に関する話し合いの行方です。第二の注目点は、バイデン氏が多国間同盟を結んで中国に市場アクセスの改善を強要しようとする試み(とその能力)です。

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カナダ

カナダは、米国よりもワクチン開発後の回復から大きな恩恵を受ける可能性が高いと見られます。米国と異なり、政治的な行き詰まりの懸念はなく、財政支援は必要な限り継続される見込みです。カナダ経済は2020年上半期に年率13.4%で縮小、その後の回復には財政政策が重要な役割を果たしています。短期的なリスクとしては、新型コロナウイルス感染者数が懸念されるペースで増加しており、州の政策立案者が事業制限の再実施を余儀なくされていることが挙げられます。

ラッセル・インベストメントでは、2021年のカナダ経済の成長率を+5%と予想しています。カナダ経済はコモディティ、特に石油の比重が高く、世界経済の回復の恩恵を受けると見られます。事業投資が本格化するまでに時間がかかるかもしれませんが、住宅市場とコモディティ価格の改善が景気回復の基盤となることが見込まれます。S&P/TSX総合指数は今年、S&P500指数の上昇率に大きく劣後しています。世界経済の回復に伴い、2021年にはこのアンダーパフォーマンスを縮小する動きが顕現するとみています。カナダドルもコモディティ価格との高い相関関係に沿って反発し、為替レートは0.79ドルのCAD/USDまで上昇する可能性があると考えています。

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オーストラリアおよびニュージーランド

オーストラリアとニュージーランドは、他地域よりも新型コロナウイルスをうまくコントロールできていると考えられることから、経済が相対的に開放的である点も踏まえ、ワクチン完成後の世界的な景気回復の恩恵を受ける態勢が整っているとみられます。ワクチン開発の直接的な恩恵としては、インバウンド観光の復活があり、これは特に、オーストラリアからの観光客に依存をしているニュージーランドに恩恵をもたらすものと見られます。

ニュージーランドにおけるジャシンダ・アーダーン首相率いる労働党政権の続投は、景気に支援的な政策が続くことを意味しています。一方、オーストラリアでは、自由党政権が失業率が6%を下回るまで財政支出を抑制しないことを約束していますが、これは2022年までは実現しないと見られます。

両国の中央銀行は、金融緩和に関して積極的な姿勢を強めています。オーストラリア準備銀行(RBA)は量的緩和策を実施し、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)も「Funding for Lending」制度(RBNZが市中銀行に対して貸付資金を融資する制度。欧州中央銀行の貸し出し条件付き長期資金供給オペレーションに近い)を実施しています。来年はRBAの量的緩和(QE)措置が拡大される見通しで、ニュージーランドではマイナス金利政策実施の可能性も残っています。

中国主導による世界経済の回復は、両国の株式市場にとってプラスに働くと思われます。ただし、経済が正常に戻ることで、オーストラリアドルとニュージーランドドルには共に上向きの圧力がかかるため、その効果は相殺される可能性があるとみています。

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"ワクチンが完成した後の段階では、経済は再び強いV字型を描いて回復基調を辿ることが期待され、2021年の実質GDP成長率は5%をも上回ることが予想されます。"

- アンドリュ–・ピーズ

資産クラス別の見通し

ラッセル・インベストメントのサイクル(中期/景気循環)、バリュエーション(長期/割高・割安)、センチメント(短期/投資家心理)(CVS)の3つの柱から成る投資判断プロセスは、2020年12月上旬の時点で世界株式を中期的にややポジティブと評価しています。米国株式は割高圏にある一方で、非米国株式は妥当と判断されるバリュエーションであることから、世界株式全体のバリュエーションはやや割高と見ています。センチメントは、ワクチン開発発表後に投資家心理が楽観的に転じて以来、若干買われ過ぎ水準と評価しています。景気サイクルは、中期的にリスク資産を下支えする状況と見ています。今回の景気後退からの回復局面では、金融緩和および財政刺激策を背景に、低インフレの成長局面が長く続くことになると考えられます。

  • ラッセル・インベストメントでは米国株式より非米国株式を選好します。ワクチン完成後の世界の景気回復時には、割安感が認められる景気敏感特性のあるバリュー株の方が、割高なテクノロジー株やグロース株よりも好感されるとみています。米国以外の主要市場では、景気敏感特性のあるバリュー株の比率が米国に比して高い状態にあります。
  • ラッセル・インベストメントは、新興国株式の割安感を好感しています。中国の他国に先駆けた早期のロックダウン解除と景気刺激策の組み合わせは、世界的な需要回復と景気回復局面で予想される米ドル安傾向と共に、新興国株式に広く恩恵をもたらすことになるとみています。
  • ハイ・イールド債および投資適格社債は、クレジット・スプレッドの観点から若干割高とみているものの、ワクチン完成後の景気サイクルの見通しは支援的に作用するとみています。ラッセル・インベストメントでは、バンクローンおよび米ドル建ての新興国債券が良好な投資機会を提供すると考えています。
  • 国債は割高と判断される水準にあります。景気回復局面ではあるものの低インフレおよびハト派寄りの政策を取る中央銀行が国債利回りの上昇を抑えると見ています。米国の物価連動債については、ブレークイーブンインフレ率がFRBの目標インフレ率を十分に下回っていることから、割安感が認められる状態にあると考えています。
  • 実物資産:不動産投資信託 (REIT) は、ソーシャル・ディスタンスやオンライン・ショッピングがオフィスビルやショッピングモールに与える影響が投資家の間で懸念され、2020年3月に大幅に売り込まれました。センチメントは過度な弱気に振れているようにも見える一方で、バリュエーションは魅力的と判断される水準にあり、パンデミックからの回復局面では投資妙味があるとみています。運輸やエネルギーインフラストラクチャーの需要も高まると考えられることから、上場インフラストラクチャーも世界的な景気回復の恩恵を受けると考えられます。
  • 米ドルは非景気敏感特性があるため、世界経済が回復期に入ると弱含む可能性があると見ています。米ドルは通常、世界的な景気後退期には上昇し、回復局面では下落する傾向があります。最も恩恵を受けるのは、オーストラリアドルニュージーランドドルカナダドルといった景気に敏感な資源国通貨と見ています。ユーロ英ポンドには割安感が認められ、両通貨ともにワクチン完成後の回復により上昇すると予想しています。

Q3 GMO 2020 Asset Performance

1 G7(ジーセブン)とは国際的な政府間組織であり、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国で構成される。

当資料に関してご留意いただきたい事項

当資料グローバル・マーケット・アウトルックに記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、2020年12月7日時点の見通しであり、市場の動向等に応じて随時変化する可能性があります。
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当資料における予測は様々な分析データを使用し、市場価格やボリュームパターンを予測したものであり、株式市場または特定の投資に関する予測を示しているものではありません。
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