アジア太平洋地域
OUTLOOK

米中貿易戦争の深刻化が地域の成長を圧迫しています。4-6月期の中国のデータはまちまち或いは軟調な展開となり、貿易リスクを勘案すると、中国政府の追加刺激策が実施され同地域に恩恵をもたらす可能性が出てきています。同地域の中央銀行の政策はより緩和的になってきています。

貿易面の痛みを和らげる刺激策を期待

アジア太平洋地域では、4-6月期のマクロ経済データが中国や韓国を筆頭に期待外れなものとなりました。輸出が鈍化し製造業の活動の伸び(足下の購買担当者景気指数に反映されている通り)も減速、韓国や台湾など一部の国々では縮小に転じています。インドでは、下院総選挙におけるナレンドラ・モディ首相の再選が経済成長を支えると見られ、引き続き精彩を欠く日本経済においては、予定されている消費税増税が引き続き今後のウォッチポイントとなっています。

中国経済に関しては、ラッセル・インベストメントは前回の四半期アウトルックにおいて、景気刺激策にけん引され成長見通しがより前向きなものになると予想していましたが、それ以降貿易戦争が深刻化し、発表されたデータはまちまち或いは軟調な展開となりました。しかしながら、確認できるのは悪材料ばかりではなく、ここへ来て追加の景気刺激策が実施される可能性が出てきています。財政刺激策は(これまで期待外れだった)インフラ支出に集中する可能性が高いと見られ、中国人民銀行総裁のコメントは、金融緩和も実施される可能性を示唆しています。ラッセル・インベストメントは、今後クレジットインパルス(GDPに対する与信の伸び率の変化)が高まる兆候が見られるかどうか、クレジットデータを注視してまいります。

インド経済は、選挙前の不透明感と自動車セクターにおける規則改正により、一時的な逆風に見舞われていますが、直近の下院総選挙でモディ政権が過半数を維持したことから、いずれの要因も向こう数カ月間で低減すると思われます。さらに、インド準備銀行が過去3カ月間で2度利下げを実施し、緩和的なスタンスを取っていることから、今後同国への投資に対する見通しは明るいものとなっています。重要なリスクとして、住宅および自動車ローンの市場シェアの40%弱を占めるノンバンクの財務状況が逼迫していることが挙げられます。

韓国および台湾の見通しについては、貿易への依存度が高いことから、引き続き慎重な見方を継続します。韓国では、消費者セクターの見通しが悪化し(消費者信頼感指数は低下し小売売上高の伸びも減速)、製造業セクターも厳しい状況におかれています(製造業PMIは縮小)。ラッセル・インベストメントは、韓国の中央銀行が緩和的スタンスへと転じ、年末にかけて利下げを実施する可能性があるとの予想を維持しています。台湾も軟調な個人消費と外需の鈍化という逆風に直面しています。

日本経済においては、1-3月期のGDP成長率が力強いものとなりましたが、これは輸入の減少によってもたらされたものであることに注意が必要です(輸入の減少は、GDPの押し上げ要因となる一方、内需の衰退を意味する)。個人消費は堅調に推移しているものの、消費者信頼感は軟調に推移しており、企業の景況感も米中貿易戦争の打撃を受けて低迷しています。政治情勢から消費税増税先送りの可能性が低下していることも、企業の景況感を悪化させている主な要因の一つと考えられます。しかしながら、消費の落ち込みを防ぐために様々な対策が講じられていることにも注目する必要があります。

オーストラリア経済の見通しは、依然精彩を欠いたものとなっていますが、住宅市場の安定に繋がる前向きな進展が3点確認されています。1点めは、与党自由党-国民党保守連合が予想に反して再選され、投資用不動産の税制措置を取り巻く不透明感が一掃された点、2点めは、マクロプルデンシャル政策が一部変更され、借り入れ限度額が今後引き上げられる可能性が出てきた点、最後に、オーストラリア準備銀行 (RBA) がすでに利下げを実施しており、年内にも追加利下げを行う可能性が高まっている点が挙げられます。RBAは引き続き労働市場を注視していますが、最近の調査結果では、自然失業率が前回予想を下回っていることが示唆されており、これにより同中銀がより緩和的なスタンスに転じる余地が生まれています。

ニュージーランド経済における重要な変化は、ニュージーランド中央銀行 (RBNZ) の政策スタンスがハト派に転じたことです。企業景況感は引き続き非常に軟調で、労働市場には鈍化の兆しが表れているなど、ニュージーランドの経済見通しは悪化傾向を辿っています。これらを受けて、ニュージーランド中銀は5月に利下げを実施、ラッセル・インベストメントは、年内にも追加利下げが実施されると見ています。

投資戦略の見通し

  • 景気サイクル: 貿易戦争の脅威が高まったことで当地域のリスクが上昇していますが、中国で見込まれている追加刺激策が今後の支えになることが期待されます。各国の中央銀行のスタンスも、より景気を重視する方向にシフトして来ています。
  • バリュエーション: オーストラリア株式は適正価格で推移しており、日本とアジア新興国株式にはやや割安感が認められます。ニュージーランド株式、先進国債券は割高圏にあると見ていますが、当地域のバリュエーションは、総じて妥当な水準にあると考えています。
  • センチメント: 指数提供会社モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル (MSCI) が、同社のグローバルインデックスに占める中国本土株式の比率引き上げを決定しており、段階的な引き上げが予定されている8月と11月には、資金の流入が見込まれます。新興国市場および日本については、センチメント指標は概ねニュートラルを示しています。

※ 上記の正式原本は以下英語版のものであり、翻訳文は原本を理解する上での参考資料です。原本と翻訳に矛盾が有る場合は、原本が優先します。

https://russellinvestments.com/us/global-market-outlook/asia-pacific

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