ユーロ圏
OUTLOOK

不運な出来事の沈静化

欧州は、ドイツの自動車生産の回復、フランスでの「黄色いベスト」運動の終結、イタリアの政治的安定、財政刺激策の影響を受けるとみられています。米中貿易摩擦の緩和は、新興国市場への輸出に依存するユーロ圏経済にとって、追い風となります。

ご留意事項 必ずお読み下さい 

一連の不運な出来事

コンセンサス・エコノミクスの調査によれば、2019年の欧州のGDP成長率は1.3%と予想されています。これは1%前後の長期トレンドこそ上回るものの、前年予想の1.8%予想からは大幅に下方修正されています。この要因として、欧州経済は複数の成長抑制要因に見舞われていたことが挙げられます。すなわち、ドイツで自動車生産の減退を引き起こした新たな排出ガス試験制度への移行、イタリアの政治的混乱、ブレグジットの不透明感、米中貿易戦争、フランスの黄色いベスト(フランス語でジレ・ジョーヌ)運動などです。

これらの要因が一時的なもので、2019年にはこれらが過ぎ去って欧州経済は回復に向かうのか、あるいは別に悪化に向かう根本的な要因が潜んでいるのかどうかは、現段階では明らかではありません。

ラッセル・インベストメントは、成長抑制要因は大半が一時的なのもので、ユーロ圏経済の成長は今年1年を通じて改善の方向に向かうと予想しています。ドイツでは自動車生産がすでに回復しつつあり、中国との間で貿易協定がまとまると見られ、英国の合意なき離脱の可能性は低下しており、イタリアのリスクも、同国10年物国債利回りが3月中旬時点で2018年10月のピークを120bp近く下回るなど減少しています。

欧州委員会は、2019年にGDPの0.4%相当の財政出動を見込んでおり、これが市場に力強い追い風を提供すると見られます。欧州中央銀行(ECB)は、2019年の最初の利上げタイミングを年末まで見送り(ただし、ラッセル・インベストメントは、2020年半ばまで利上げの可能性は低いと予想)、来年に満期を迎えるTLTROs(低利で長期の資金を貸し付ける条件付き長期資金供給オペレーション)に代わる新たな安価な銀行融資プログラムの概要を発表しています。加えて欧州の家計は、失業率の低下や賃金の上昇などを受け、比較的良好な状態にあります。

投資戦略の見通し

  • 景気サイクル:一時的な出来事の影響が沈静化し始めるにつれて、サイクルは今後数カ月に亘って改善すると見ています。新興国市場への輸出はユーロ圏のGDPのほぼ10%に相当するため、この地域は米中貿易戦争が解決に向かえば、その恩恵を受けると見ています。
  • バリュエーション:欧州株式のバリュエーションにはニュートラルである一方、コア国債は長期的にみて割高な水準にあります。
  • センチメント:コントラリアン・センチメント・シグナルは2018年12月下旬に大きく売られ過ぎに傾斜しましたが、その後の株式の反発によってニュートラルに向かっています。株価モメンタムはフラットです。

欧州株式には失望させられた経験があるため、主要なリスクを考慮する必要があります。

  • イタリアは、再び危機に:同国は、すでに2018年後半に景気後退期入りしていたことが確認され、2019年1-3月期はマイナス成長となる可能性が高いと見ています。政情は不安定で、2019年に選挙が行われる可能性を排除することはできません。選挙が行われれば、軍配はレガ政党が支配するマテオ・サルビニ率いる右派連合に上がると見ており、これによって政治的安定がもたらされると期待されるものの、財政政策を巡っては、欧州委員会との間にさらなる衝突が生まれる可能性があることは、念頭に入れておく必要があります。
  • ECBの早すぎた引き締め転換という政策上の過ち:当リスクは、ECB理事会が3月にハト派に転じて以降、急激に低下しました。目下の重要な課題は、10月末に任期が満了するドラギ総裁の後継者選びとなっています。リイカネン前フィンランド中銀総裁が有力と見られているものの、ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁が任命されれば、タカ派への転換がなされることを意味するため、後継者選びの行く末を注視する必要があります。
  • クレジット拡大(銀行貸出)は依然として低迷:ここ数ヶ月、貸出フローが低迷しており、株式市場の最大セクターである金融セクターにおける1株当たり利益(EPS)成長の低下懸念および経済活動の短期見通しの悪化懸念をもたらしています(下図参照)。信用成長の低迷が続けば、ユーロ圏経済は今後さらに減速していくことから、今後も月次の貸出フローを厳密に注視していく必要があります。
  • トランプ大統領による欧州の自動車への課税:トランプ大統領のデスクの上には、2月17日以降、米商務省からの25%の自動車税を勧告しているであろうレポートが乗っています。同大統領には決定を下すまで90日(5月18日まで)の猶予がありますが、関税を課す決断にはならないと見ています。
  • ハードブレグジット:合意なき離脱に至れば、輸出、サプライチェーン及び信頼感に影響を与えると見ています。その可能性は少ないと見られますが、英国の政治情勢は非常に予測不可能であることも事実です。

※ 上記の正式原本は以下英語版のものであり、翻訳文は原本を理解する上での参考資料です。原本と翻訳に矛盾が有る場合は、原本が優先します。
https://russellinvestments.com/us/global-market-outlook/eurozone

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