2018年1-3月期 債券運用機関アンケート調査結果

金利上昇、ボラティリティ、新興国市場への期待

ご留意事項 必ずお読み下さい 

2018年4月13日
アダム・スミアーズ、ラッセル・インベストメント(英国) グローバル債券運用期間調査ヘッド

ラッセル・インベストメント(米国)では四半期ごとに世界の債券運用機関に対して、現状認識や市場見通しのアンケートを実施しています。本記事では、本年2月下旬を回答期日としたアンケート調査結果の概要をご紹介いたします。過去に実施してきたアンケートでは、金利戦略を得意とする運用マネージャー(以下、金利マネージャー)とクレジット戦略を得意とする運用マネージャー(以下、クレジット・マネージャー)で、市場の見通しが割れていたことが1つの特徴となっていました。この見方の相違のあり方に、少し異なる動きが見られていることが今回観察されています。世界の債券運用機関がどのような見方をしているのか、変動の高まる市場環境の中で、このアンケート結果から得られる示唆が投資家の皆様のご参考になると考え、その概要をご紹介いたします。

※以下は、2018年4月にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載されました英文記事の冒頭部分を、概要として翻訳したものです。

金利マネージャーとクレジット・マネージャーの見通しの相違は続いている。ただし、今回のアンケート調査では、金利マネージャーが少し見方を変更してきている。

今回の四半期アンケート調査は、2月末の相場急落とほぼ同じタイミングを回答期限としていたため、市場の価格調整を踏まえた運用機関による判断は反映されていない。それにもかかわらず、調査結果は貴重な洞察を示している。

これまでクレジット・マネージャーは企業ファンダメンタルズの改善期待に軸足を置いた見方をする一方、金利マネージャーは低成長と低インフレを見込んでおり、両者の見方の相違があることをラッセル・インベストメントは観察してきた。「低成長」と「力強い企業信用ファンダメンタルズ」、という相反する状況が続くとの想定は考え難いため、両者の見解の相違は長期的には矛盾している。

今回のアンケート調査で金利マネージャーがまず見方を修正してきている。従前より高い金利水準にてコンセンサスを形成し、FF金利(米国の短期金利の代表的な指標)が到達する最も高い水準の見通しは、前回調査よりも40bps高くなり、また米10年国債の見通しを2.8%以上と予想している運用機関の増加を示したが、実際にアンケート調査終了後に市場はその水準に達した。

問題は、このように予測される金利の上昇がクレジット市場、つまり企業の信用ファンダメンタルズに、最終的に影響するかどうかにある。

このアンケート調査の時点では、答えはノーである。今回も(前回に続き)アンケートへの回答者は、ファンダメンタルズの改善を受けてハイイールド債券への投資を選好する一方で、投資適格債券への投資には注意して臨むべきとの回答であった。クレジット市場の中では、運用機関はスプレッドの縮小余地という観点でノンエージェンシー・モーゲージ債(政府や関連機関による元利金支払いの保証は無い、住宅ローン担保債券)が最も魅力があると回答している。

債券の投資機会の中で、明確に強気で見られているのが現地通貨建てエマージング債券市場であることは今回も変わりはなかった。この市場がすでに好調なパフォーマンスを達成しているにもかかわらず、前回のアンケート調査よりも多くの運用機関が現地通貨建てエマージング債券を選好している。

さらに、米ドルが継続的な弱含み局面にあると考えられていることもエマージング市場通貨に対する追い風となっている。しかし、85%の金利マネージャーが見込んでいる通り、米国連邦準備制度理事会(FRB)が本年3回以上の金利引き上げを実施した場合、このドル安の流れが継続するのか、また、現地通貨建てエマージング債券市場にどのような影響をもたらすか、といった疑問が本格的に問われることになる。 

アンケート結果ハイライト

  • FF 金利見通しは前回のアンケート調査時に比べて40bps 上昇
  • 米国10年国債の利回り水準は2.8%かそれ以上への上昇を見込む (今回のアンケート実施後に実際にこの水準に達した)
  • これらの金利上昇はクレジット市場に大きな影響を及ぼさないと予想
  • ファンダメンタルズの改善を受けて、ハイイールド・クレジット市場への選好が再び見られる
  • アンケート回答の運用機関は投資適格債券に対する警戒的なスタンスを表明
  • クレジット債券市場の中では、スプレッドの縮小余地が最も高い可能性がある領域として、ノンエージェンシー・モーゲージ債(政府や関連機関による元利金支払いの保証は無い、住宅ローン担保債券)が挙げられる
  • 債券市場のサブセクターの中では、現地通貨建てエマージング債券が引き続き明確な強さを示す
  • 米ドル安の流れは続き、エマージング市場通貨への追い風となっている

2018年1-3月期に実施した今回の債券運用機関宛てのアンケート調査では、世界の債券運用機関70社から回答を得た。その中で特定の投資エリア(サブセクター)に特化した運用チームには、それぞれが特化するサブセクターについての回答を依頼している。8つのエリアにおける代表的な債券・通貨の運用マネージャーに対して、市場バリュエーションや今後数カ月の見通しについてアンケートを実施した内容をまとめている。


この運用機関アンケートの詳細についてご興味のある機関投資家のお客様は、担当窓口にお問い合わせください。

 

 

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