2019年に注目すべき投資テーマトップ5

ご留意事項 必ずお読み下さい 

2018年2月4日
アンドリュー・ピース、グローバル・ヘッド・オブ・インベストメント・ストラテジー

※以下は、2019年1月17日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文はこちら

 

2018年を振り返って

2018年は、地政学やポピュリズムが席巻し、世界的に株式市場の動きが大きい不安定な年となった。その結果、現金および国債を除くほぼすべての資産クラスのリターンがマイナスとなった1。同様のテーマの多くが、2019年も影響を継続する可能性があろう。しかしながら大きな違いは、2018年初頭に観測された全体的な楽観主義とは対照的に、今年は投資家の間に悲観的な見方が広がっていることだ。逆張り投資家の視点からは、新年が弱気バイアスで始まると、いつも安心してしまう。

それでは、2019年に注目すべき投資戦略テーマのうち、上位5テーマの点検を始めよう。

上位5テーマの点検

第5位:ブレグジットはおそらく心配なし

現在ブレグジットは、プロセスにおいて厄介な最終段階にある。最後まで予断を許さないが、様々な結果が考えられる。様々な結果とは、つまり、交渉による合意、さらなる遅延、選挙、新たな国民投票、または合意なき離脱だ。どれに落ち着くかを選ぶのは困難だが、「ソフト ブレグジット(穏健な離脱)」の合意が最もありうる可能性だろう。そうなれば、米ドルに対するポンドの適正価値が上昇する可能性がある。ラッセル・インベストメントは英ポンド/米ドル水準を1.40前後と予想している2。これは、海外の収益に大きく依存するFTSE100にとっては良いニュースとは言えない。ポンドの上昇が英国の企業収益への下押し圧力になるからであるが、現時点で英国株式はそれほど割高には見えない。

英国経済は好調ではないが、ブレグジットが本当に大きなリスクをもたらさないのなら、イングランド銀行は、おそらく1回か2回利上げを実施するのではないかとラッセル・インベストメントは考えている。10年物国債の利回りは底を打っているが、長期国債の利回りと同様に、大きく上昇するとは見ていない。ラッセル・インベストメントのモデルは、英国債の適正価値を2.2%としており、おそらくこの水準に向かって上昇していく可能性が高いであろう3

第4位:イタリアは非常に不気味

イタリアは非常に悪い方向に向かう可能性がある。国際通貨基金(IMF)によると、イタリアの政府債務はGDPのおよそ130%にあたり、過去10年間イタリア経済は成長していない。実際10年前と比べ、依然として規模は5%小さい4。加えて、銀行は多くの不良債権を抱えており、イタリア政府は右派ポピュリストの北部同盟と左派ポピュリストの五つ星運動による非常に不安定な連立政権だ。

さらに複雑なことに、イタリアは世界第4位の債券市場を有している5。破綻するにしても、救済するにしても大きすぎるのだ。つまり、ギリシャとは全く異なるケースになる。

イタリアの銀行は発行済国債の約20%を所有しており6、これはイタリアの債券利回りが上昇するにつれて、保有する資産価値が下がることを意味する。イタリアの10年物国債の利回りは、現在約2.9%となっている7。利回りが4%を超えれば、イタリアの銀行は潜在的に破綻する可能性があるとラッセル・インベストメントは考えている8。利回りは、予算に関する不透明感がピークになった2018年11月下旬に3.6%に達した9。最悪のシナリオは、債券利回りの上昇により、イタリア政府が銀行を救済しなければならないことを投資家が懸念し、それが債券利回りをさらに上昇させるという悪循環である。

こうした事態は可能性としてはあるものの、ラッセル・インベストメントとしては、あまり想定していない。ラッセル・インベストメントは、イタリアが2015年のギリシャと同じような展開を見せると考えている。ユーロ圏から離脱することがギリシャの経済にとって何を意味するのかを理解した後、扇動的なポピュリストである急進左派連合が政策変更を余儀なくされたようにだ。2018年11月に債券利回りが急上昇した後、イタリア政府はすでに2019年の財政赤字計画を骨抜きにした。

イタリア政府は欧州委員会を無視することはできるが、債券市場を無視することはできない。それは本格的な危機を防ぐだろうが、イタリアは2019年を通して多くの攪乱要因となる可能性がある。

第3位:中国はきわめて恐ろしい

長い間、多くの人々が中国の経済危機を予測してきた。中国経済が不安定であることは分かっている。投資支出に大きく頼っており、消費者支出は足りていない。過度に単純化した言い方かもしれないが、過去20年間の中国の基本的な成長モデルは、国有銀行が人為的に低い金利で、国営企業や地方自治体に資金を貸し出すモデルだった。

その結果、借金が積もりに積もった。つまり、中国の中央銀行は、2008年と2015年に実施した規模で、現在の中国経済を押し上げることができない。2018年に、中国の株式市場は20%下落した10。ただし、中国には値上がりする可能性がある株式が多く存在していることは良いニュースだ。それにもかかわらず、ラッセル・インベストメントは依然として中国経済が低迷を続けると確信している。暴落を阻止する上で政府は十分な政策手段を持ってはいるが、中国が世界経済の需要成長のもとになるであろうとは考えていない。

第2位:トランプ米大統領は・・・予測不可能

トランプ大統領の減税に対する信念は別として、ラッセル・インベストメントが予測できるトランプ政策の原則に最も近いものは、最大限の圧力をかける交渉姿勢だろう。ラッセル・インベストメントは、北朝鮮との交渉でこれを目撃した。そしてこれが、中国との貿易戦争でも演じられているのを目の当たりにしている。

2018年11月から12月にかけてアルゼンチンで開催されたG20首脳会談では、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が停戦に合意した。今後数カ月、貿易戦争の緊張が一時的に緩和する見込みはある。しかし長期的には、トランプ大統領はさらに強い圧力をかけると考えている。ラッセル・インベストメントの見解では、おそらく最大限の圧力を今後も継続し、潜在的には、5千5百億ドル相当の対米中国輸出品に、より多くの関税をかけることを発表すると見ている。

貿易戦争による最大のリスクは経済的な影響ではない。もちろん、経済的な影響も好ましいものではないが、対処は可能だと考える。より大きな懸念は、この貿易戦争が軍事的緊張の高まりにつながることだ。

例えば、南シナ海は主権が激しく争われている地域だ。中国はその大部分の主権を主張しており、小さな礁の島に軍事基地を建設してきた。しかし、米国はこれらの島々に対する中国の主権を認めておらず、米国海軍は2015年以来、航行の自由作戦を進めてきた。2018年10月、中国の船が意図的に米国船の船首を横切って操縦し、回避行動をとるように強制した11。実際に衝突していれば重大な軍事的事象になっていたはずで、おそらく市場にとってはリスクオフとなる事象だっただろう。

要するに、緊張は依然高まり続けている。ラッセル・インベストメントは、どちら側も大きく後退するとは予想していない。

第1位:2020年-米国不況の危険地帯

もう、米国景気サイクルが終わりに近づいていると誰しもが語るのを聞き飽きたことだろう。もちろん、今度は違う可能性もある。終わりを知らない成長の真っ只中にいるのかもしれないが、ラッセル・インベストメントではそのようには考えていない。

一言で言えば、確かに景気サイクルの終わりに近づいてはいる。そして、それがいつ終わるかは分からないが、2019年ではないと確信している。その代わり、2020年頃に米国に危険信号が灯るとラッセル・インベストメントは考える。通常、弱気相場は景気後退の約6カ月前まで観測されないことを考えれば、おそらくあと1年は、「オッケーではあるが、不安定」な市場が目の前で展開されるだろう。

それでも、弱気相場で一般的に観測される市場の調整の規模については、思い出しておくことが重要だ。第二次世界大戦以来、S&P 500インデックスは弱気相場において平均33%の下落を経験した12。そして、50%の下落から回復するには、100%のリバウンドが必要であることを忘れないで欲しい。そのため、2019年を通して、後期サイクルの高揚感が株式市場を大幅に押し上げる可能性は十分にあるが、長期的には、下落リスクが上昇リスクを上回る可能性があることをラッセル・インベストメントは懸念している。

2019年も2018年に倣い、また違った、しかしやはり興味深い一年になると考えている。

 

  1. 出所: https://www.cnbc.com/2018/12/20/the-year-nothing-worked-every-asset-class-is-in-the-red-in-2018.html
  2. 出所:ラッセル・インベストメント、2019年1月。
  3. 出所:ラッセル・インベストメント、2019年1月。
  4. 出所: https://www.imf.org/external/datamapper/CG_DEBT_GDP@GDD/CHN/FRA/DEU/JPN/GBR/USA/ITA
  5. 出所: https://www.theglobeandmail.com/business/article-italys-political-crisis-jolts-markets-rattles-all-of-europe/
  6. 出所: https://www.research.unicredit.eu/DocsKey/fxfistrategy_docs_2018_164967.ashx?EXT=pdf&KEY=KZGTuQCn4lsvclJnUgseVGkpNcRXR5-WLoNFhsvJBXHbE69WfFEurg==& 
  7. 出所:ブルームバーグ、2019年1月15日現在。
  8. 出所:ラッセル・インベストメント、2019年1月。
  9. 出所: https://tradingeconomics.com/italy/government-bond-yield
  10. 出所:MSCI中国インデックス、2019年1月15日現在。
  11. 出所: https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-10-02/china-says-navy-drove-u-s-warship-from-south-china-sea-reef
  12. 出所: https://www.cbsnews.com/news/whats-a-bear-market-and-how-long-might-it-last/
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