主なポイント
イラン紛争に関する留意点
米国の第4四半期決算は引き続き堅調
株式市場の主導役は米国大型株以外へも拡大
堅調な経済指標にもかかわらず、米国債利回りは低下
イラン情勢の最新情報
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランに対して共同攻撃を実施しました。現在進行中の紛争が世界の金融市場に波及する主な経路は、世界の海上原油取引量および液体燃料消費量の約20~25%が通過する要衝であるホルムズ海峡が混乱するかどうかにあります。
今後数日間、市場がこの出来事を消化していくなかで、マクロ経済の観点から注視すべき点は以下のとおりです。
原油ショックは、数十年前と比べると、世界の金融市場にとって重要性が低下しています。現時点では、今回の攻撃が世界のファンダメンタルズを大きく損なう可能性は低いと見ています。その理由として、
米国は現在、世界最大の石油・天然ガス生産国
米国は原油の純輸出国
エネルギー効率が大幅に改善し、ガソリン支出は米国の家計支出全体の約2%にとどまっている
現在の世界経済は、1970~90年代の原油ショック時代とは構造的に大きく異なる
が挙げられます。
そのため、中東情勢を受けて短期的にリスク回避姿勢が強まるものの、ファンダメンタルズが実質的に損なわれない場合には、ポジションを維持し、下落局面ではリスク性資産の投資を積み増すことも考えられます。
第4四半期決算は成長基調が継続
米国では第4四半期の決算発表が終盤を迎えており、企業経営陣からのコメントは総じて前向きな内容となっています。S&P500指数ベースでは、前年同期比で約15%の増益となり、5四半期連続で2桁成長を記録しました。2026年第1四半期に向けた業績見通しも、2021年以来で最も強いトーンとなっており、利益成長サイクルの持続性を裏付けています。
一方で、株価の動きは相対的に抑制されています。ファンダメンタルズが改善するなかでも、米国大型株は年初来でおおむね横ばいの推移となっています。その背景には、AIがビジネスモデルや企業価値に与える影響を市場が再評価する動きがあり、個別銘柄間のばらつき(ディスパージョン)が高まっていることが挙げられます。特にソフトウェアセクターでは、競争優位性や収益の持続性を軸に、企業間でより慎重な選別が進んでいます。
分散投資の重要性を再認識
もう一つのテーマは、株式市場における分散投資の効果です。年初来では、市場の主導役が広がり、米国以外の株式や米国小型株が、米国大型株を上回るパフォーマンスとなっています。
これは、ラッセル・インベストメントの「2026年グローバル市場見通し」で示した「市場のリーダーシップは今年、より広範に拡大する」というテーマとも整合的です。2026年2月26日の市場終了時点で、米国を除くMSCIオール・カントリー・ワールド指数は約11%上昇しています。一方、米国小型株は約8%の上昇に対し、米国大型株は約1%の上昇にとどまりました。このパフォーマンス格差は、これまでリターンを牽引してきた一部のメガキャップ銘柄以外にも、市場のけん引役が広がっていることを示しています。
米国債市場で見られる興味深い動き
一方、米国債市場では、経済環境が堅調であるにもかかわらず、国債利回りが低下しています。足元の経済指標は総じて市場予想を上回り、成長指標も底堅く、昨年後半にFRBが利下げに踏み切った背景である労働市場も安定しつつあります。
通常であれば、このような環境下では国債利回りは上昇しやすい局面です。しかし、過去1か月で利回りは20ベーシスポイント以上低下し、イールドカーブはブル・フラット化(長期金利が短期金利よりも大きく低下した状態)しています。
これは、経済が堅調な局面では一般的とは言えない動きであり、投資家がリスク管理をより重視していることを示唆しています。株式市場のボラティリティの高まりや、AIが市場構造に与える影響を巡る不確実性が、米国債への資金流入を促している可能性が高いと考えられます。