効果的な為替プロキシ・ヘッジの特徴

※当資料は、ラッセル・インベストメントが2021年3月に発行した英文のレポートを抄訳したものです。

グローバル株式投資における重要事項の1つは、通貨エクスポージャーの管理である。通貨エクスポージャーをヘッジする投資家は、ヘッジ比率や戦略的ベンチマークの設定、カウンターパーティー集中度の限度設定に至るまで多くの意思決定を行っている。投資家の通貨エクスポージャーの構成によっては、プロキシ(代替)・ヘッジの使用を検討すべき場合もある。プロキシ・ヘッジを用いる場合、オーバーレイにより、ある通貨がそれと同金額に相当する別の通貨によって代替されることになる。この為替ヘッジの手法は、取引数を減らし、相対的に流動性の低い通貨を避けることでコストを縮小すると同時に、為替ヘッジ・ベンチマークに対するトラッキングエラーは小さく保たれることから、投資家にとって有益となり得る。ただ、景気循環によっては、安定的であるはずの相関関係が崩れてしまうこともあるため、相関関係を超えた全体的アプローチの採用は検討するに値する。

適切なプロキシとは何か?

よく理解せずにプロキシの選択を行うことは有害となり得る。例えば、プロキシ対象通貨と相関の高い通貨を単に選択することは、金利差などの要因をまったく無視している。しっかりした分析をするのであれば複数の要因を検討すべきで、相関分析だけでなく為替相場制度、キャリー・コスト、流動性、重要性も検討すべきである。

為替相場制度

予測可能性の程度に差はあるものの、通貨の動きはいくつかの要因が重なっている。いかなる通貨の分析も、通貨が存在している為替相場制度の現状から出発するべきである。先進国市場の通貨は通常、変動相場制であるが、新興国市場の一部の通貨は管理された為替相場制度で運用されている。これらの制度は、正式な厳しい固定相場制度の場合もあれば、固定レートを中心としてより緩やかに管理されている場合もある。

相関関係

相関関係はプロキシの選択で有用であるが、為替マネージャーは相関分析を行う際にサンプル・バイアスを意識しなければならない。比較的大規模なサンプル(例えば10年)を用いる場合、為替制度の変更を無視することにつながるときがある。一方で、短期(例えば1年)のデータセットは現在の市場動向が持続すると暗黙裡に想定している。中間の妥当な着地点として考えられるのは、様々な時間軸の複数のデータセットを用いて相関関係を比較し、相関関係が時間をまたいで保たれているかどうかを実質的に確認することであろう。こういった広範な分析によって、より厳密でより一般的でない調査を行うことができ、一過性的相関の確率を減少させることができる。

キャリー・コスト(すなわち、インプライド・フォワード金利)

強い相関と安定的な為替相場制度はプロキシとしての適性を示す可能性があるが、売買する両通貨の金利差を無視してはならない。ある通貨を売り持ちにすることは、将来の特定日を受け渡し期日としてその通貨を借り入れると同時に基準通貨を貸し出すことと似ている。したがって、執行時に生じるフォワード・ポイントは大きく言えば2国間の短期金利の差を表わしている。金利差が、売買される(外国の)通貨に有利となっている場合、当該取引通貨を売り持ちにした投資家は実質的にその通貨をヘッジするための黙示的コストをネット・ベースで支払わなければならないことを意味する。この「キャリー・コスト」はプロキシを選択する際の重要な考慮事項である。

流動性と取引コスト

プロキシ・ヘッジは、規模が問題となっている場合には有効な手段となり得る。例えば、一日当たりの平均取扱高が少ない通貨で月間に大規模な売買を行うポートフォリオは、潜在的なプロキシ対象通貨を内包している可能性がある。代替しなければ、当該ポートフォリオは高額な取引コストによってパフォーマンスに悪影響を受けることになろう。重要性

ヘッジ対象通貨内の一部の通貨は、ウェイトが僅少であるためプロキシ・ヘッジを行うのが妥当な場合もあるが、場合によってはヘッジしないでそのまま残すのが妥当な場合もある。ヘッジしないことは積極的な選択であり、プロキシ分析の知見を得て判断されるべきである。そうでなければ、小さいウェイトの複数の通貨(合計すればかなりのウェイトになる)がヘッジされずに残っている場合などで、ポートフォリオが望んでいる水準を越えるトラッキングエラーになる可能性がある。

結論

プロキシ・ヘッジは、いかなる為替管理プログラムにおいても十分に考慮されるべき重要なテーマである。分析が不十分であるならば、トラッキングエラーが大きくなったり、取引コストが高くなったりする可能性がある。他方、プロキシの厳密な分析と慎重な選択は、トラッキングエラーを小さく保ちつつ、取引頻度を減らし、取引コストを節約し、流動性の低い取引を回避するのに貢献することができる。そうするためには、適切なプロキシであると認識するための様々な要因を評価の対象とする必要がある。相関関係、為替相場制度、キャリー・コスト、流動性、重要性がその基本的な評価対象となるであろう。プロキシ分析の定期的な見直しは、従来の理解を確認し、起こりつつある傾向を見極め、最終的に現在のプロキシの選択にも影響を与えることになるであろう。

さらに詳しい情報については、当社のレポート『為替プロキシ・ヘッジ:相関関係を超えて』に詳細分析やケーススタディが記載されていますのでご覧ください。