2022年第3四半期(7-9月期)株式運用機関レポート:市場のボラティリティが継続する見通し

以下は、2022年10月27日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文は こちら。内容は作成時点のもので今後市場や経済の状況に応じて変わる可能性があります。また、当見解は将来の結果を保証するものではありません。

年末までに市場の混乱は沈静化するだろうか?

当社の第3四半期株式市場見通しでは、おそらくその気配はないだろう。高インフレの継続、タカ派色を維持する中銀、そして欧州の地政学的な不安定化を巡る懸念のなか、株式運用会社の大半は市場のボラティリティが年末まで続くと予想している。

また、高インフレが持続中であるため、運用会社はインフレ耐性が高くダウンサイド・プロテクションの特性を持つセクターを選好し、インフレが制御される兆候が現れるまでこの姿勢を維持するものとみられる。相対的なバリュエーションと米連邦準備制度理事会(FRB)が方針転換した場合のドルの先安観により、運用機関は一般的に米国株式よりも米国以外の株式がより魅力的であるとみている。

当社の第3四半期レポートで株式運用会社が指摘している主要リスクの1つは、高インフレが継続する可能性である。これは、中銀が積極的な利上げを継続することにより、世界経済の成長に大幅な減速をもたらし、予想を上回る景気後退のきっかけとなりかねない。ただし、現時点において運用会社の大半は、特に米国において穏やかな景気後退に留まるだろうとの見方を崩していない。

全体として、第3四半期はほぼすべての市場で米ドルおよび現地通貨建てでマイナスリターンという、株式市場にとって厳しい環境が続いたといえる。例外はブラジルなどの新興国市場で、2021年序盤に積極的に金利の引き上げを行った結果、足元ではインフレが収まりつつあると同時に経済活動再開の恩恵を受けて好転した。オーストラリアなど他の商品輸出国もまた、目下の環境から恩恵を受け現地通貨ではプラスのリターンとなった。

第3四半期の市場環境は、新興国株、日本株、オーストラリア株、カナダ株、グローバル不動産・インフラ関連株のアクティブ・マネジャーにとって比較的良好だったが、グロース株、米国を除くグローバル株、米国大型株、米国小型株、欧州株、英国株の運用機関にとっては非常に難しい環境だった。英国政府の財政政策発表が本四半期末に向けて市場のボラティリティを増大させ、10月にリズ・トラス首相が退陣する一因となった。

特筆すべきは、グロースおよびクオリティ・ファクターが第3四半期を通じて全般的に好調だった半面、バリューファクターはすべての地域でアンダーパフォームした点である。例外は、グロースおよびバリューの両ファクターがアンダーパフォームし、低ボラティリティ、モメンタム、および小型株ファクターがアウトパフォームした新興国市場である。全体として、新興国市場を除いて、パフォーマンスの乖離がスタイルファクターによるものが大きい環境が続いている。

本レポートは、ラッセル・インベストメントが運用機関との間に築いた独自の関係を活用して、運用機関のスペシャリストの見解を読みやすい形にまとめたものである。2022年第3四半期の世界の主要な株式市場と地域について、主な戦術的見通しを以下で紹介する。

オーストラリア株式 

2023年上期における企業収益に対する懸念

  • 運用機関は、8月に発表された企業実績をまずまずだが副次的なものであると表現し、値動きの激しい四半期であったがマクロ要因が株価変動の主要因であったと分析した。その結果、ポートフォリオは概ね入れ替えなしとなった。
  • 金利の上昇と高インフレが2023暦年上期において消費需要の後退および利益率の低下を招き、企業利益が落ち込むとみている。運用機関は、インフレ環境下での利益率の維持や構造的成長が見込める企業を選好している。強いバランスシートは、これら企業の必須条件である。よりディフェンシブであると見なされているゲームおよび酒類セクターを除き、運用機関は一般消費財銘柄に警戒感を持っている。

中国経済への見方は改善

  • 運用機関は、慎重ながらも中国経済の見通しについて楽観視している。これは具体的に、今後中国では新型コロナウイルス感染症に伴うロックダウンが減少し、財政出動が実施されて消費活動および経済活動が改善すると考えていることによる。そのため、運用機関は他のセクターをアウトパフォームすると予測する資源セクターのポジショニングを増やしている。

未来型金属株式テーマの勃興

  • 電気自動車(EV)と再生可能エネルギーの生産に使用する素材を採掘する資源企業は、引き続き運用機関の注目銘柄となっている。運用機関はこの株式テーマを増やしたか、既存のエクスポージャーを維持しつつもボラティリティの上昇に応じて増やす意向である。
  • 運用機関は、銘柄選択が最重要であり、優良な資産と強固なバランスシートを持つ低コストの生産者を引き続き選好すると述べている。運用機関は、リチウム鉱山銘柄は市場が生産リスクを無視しており、割高である判断している。

カナダ株式

景気後退懸念が今四半期も運用機関のポジショニングを左右

  • 運用機関は、他の中銀と同様にカナダ中銀がインフレ制御のために利上げを強行する意向であることを意識している。こうした金融政策が景気後退をもたらす可能性を認識し、運用機関は景気に敏感な企業のエクスポージャーを増やすことに慎重になっている。
  • 運用機関は、カナダの消費者の借入残高や銀行セグメントの帳簿に記載された住宅ローンが多くを占める銀行の融資を背景に、金融セクター内のリスクを落とし、銘柄を厳選している。

一般消費財・サービス銘柄に対するバーベル戦略

  • 一般消費財セクターでは、運用機関は量販市場の消費者を避ける一方、ハイエンド消費者またはローエンド消費者向け企業のポジショニングを取っている。
  • ハイエンド消費者市場は景気低迷時でも消費が鈍らない傾向があるとして、選好されている。
  • 低所得者層向け企業もまた、コスト意識が高まった中所得者層の節約志向から恩恵を受ける。その結果、運用機関は量販市場の消費者向け一般消費財・サービス銘柄を最も高リスクと評価するに至った。

エネルギー部門の機会が継続

  • 第3四半期における商品価格の下落によりエネルギー株が低迷したにも関わらず、運用機関は引き続きこのセクターに対して楽観的である。
  • その理由は、カナダのエネルギー企業のバリュエーションが魅力的で、バランスシートが全般的に健全であることから、世界の商品需給のアンバランスを背景にしたモメンタムから引き続き恩恵を受けると考えられるからである。

新興国株式

中国経済の回復を見込んだポジショニング、時期はまだ不透明

  • 中国共産党の新指導部が10月に選出され、ワクチンの試験も予定されることから、投資家は香港を例としてロックダウン解除がさらに進むとみている。一方で、その時期、党大会の結果を受けて今後採択される政策が及ぼす広範な影響については不透明感が漂う。旅行関連銘柄や消費者向け銘柄は、経済の正常化によるメリットを享受することが予想される。
  • 運用機関は、インターネット関連銘柄を魅力的な投資先とし、グロース株運用機関は収益の上方修正を背景にポジションを積み増し、バリュー株運用機関、コスト削減と収益率改善を見込んで積極的な姿勢を見せている。
  • さらにバリュー株運用機関は、不動産セクター全般が売り込まれ下落した不動産サービス銘柄を見直している。

新しい商品サイクルの幕開け

  • 運用機関は、グリーンメタル需要と大幅な収益改善から恩恵を受けるインドネシア、メキシコ、およびチリなどの商品生産国について前向きな姿勢を示している。

テクノロジー産業へは慎重な見方

  • 景気後退のリスク、および特に消費者向けテクノロジー分野におけるハードウェア需要の減速を背景に、投資スタイルに関わらず運用機関は台湾と韓国への投資に慎重になっている。また、バリュエーションに敏感な運用機関は、低いバリュエーションと価格決定力が魅力的なメモリー関連銘柄に投資機会を見いだしている。

インフレ圧力から脱しつつあるブラジル

  • インフレが制御されつつあるブラジルでは、今後金利の引き下げが期待されることから、市場のセンチメントが好転している。また、ルーラ元大統領が10月30日の決選投票で勝利するとの予想を市場は好感している。

中東:急速に成長する金融ハブ

  • 投資家は、石油価格の上昇がマクロ経済の追い風となり消費の拡大とクレジットの普及を呼び込んでいるサウジアラビアの銀行セクターに注目している。
  • 政策支援と併せて、都市化プロジェクトとインフラ投資が進むアラブ首長国連邦の商業不動産は、魅力的なグロース投資先となっている。

欧州および英国株式

高インフレが英国の消費者と企業を圧迫

  • インフレの進行が一般消費財の消費に及ぼす影響についての不安が、小売業、およびその他の国内向け企業に重くのしかかっている。これらの問題から影響を受けると予想される銘柄は売られた。

英国のボラティリティは中期的な機会となる

  • ボラティリティは、収益リスクのある循環株のみで発生するのではない。防衛関連企業や消費者信用格付け機関など、相対的に手堅く、極めて割安となっている低ベータ銘柄も多数あり、運用機関の有望な投資先となっている。

英ポンド安

  • 英国の大手多国籍生活必需品メーカーおよびエネルギー企業はドル高の恩恵を受け、さらにスタグフレーション環境にも柔軟に対応できると見られる。
  • 魅力的な為替レートを背景に、英国企業ではすでにいくつかの新しい買い手が現れ、企業買収活動の加速化も見込まれている。

クオリティ・ファクターには更なる痛みが続く

  • 欧州市場の循環株とバリュー株の魅力的なバリュエーションが継続するなか、長期的な見通しの低下、消費者需要の変化を受けてクオリティ銘柄は割高となっている。

環境関連支出が引き続き優先課題となる

  • 足元の市場ボラティリティが環境インフラ構築と持続可能エネルギー生産の推進に邁進する欧州を引き留める可能性は低い。運用機関は、これらの産業が財政政策の支援を受け続けるとみている。

グローバル株式

市場のボラティリティが継続する見通し

  • 欧州における地政学的な不安定化、米国のインフレ懸念、および中国経済の成長の鈍化を考慮すると、運用機関は、当面グローバル市場のボラティリティが継続すると予測している。

米国市場以外での投資機会が拡大

  • グローバル株の運用機関は、経済的な懸念と為替市場の影響からバリュエーションが割安となっている欧州株に投資妙味があるとみている。
  • 日本株式については、日本企業が余剰資金をふんだんに持っており、さらに残高を積み上げていることから、引き続き注目されている。円安および株主利益とコーポレート・ガバナンス政策の継続的な重視により、その見方が裏付けられている。
  • 中国への投資に関する慎重さが継続しているが、中国株式の大幅な下落は、特にバリュー株の運用機関の関心を呼び戻している。

収益の下方修正の見込み

  • 直近の推定値は2023年にプラス成長をいまだ織り込んでいるが、すでにキャッシュフローが減速(運転資金、アクルーアル)していることにより、運用機関は下方修正を予測している。利上げと世界経済の減速がその主な要因である。

安全性とダウンサイド・プロテクションを求める投資家

  • 景気後退の懸念が続くなか、運用機関はダウンサイド・プロテクション並びにインフレに対するヘッジを提供できる分野でリターンを追求している。運用機関の多くは、強い価格決定力、高いマーケットシェア、および借入金がないか少ない銘柄を選好している。

ドル高の勝者と敗者

  • 欧州をオーバーウェイトしている運用機関はパフォーマンスに対するユーロ安の逆風を感じているが、これが反転すれば、米国株以外の株式への追い風に転じることを期待している。

日本株式

全般的な景気後退の不安にも関わらず市場の評価にばらつきがみられる

  • インフレ対策としてFRBが利上げを継続していることから、ほとんどの運用機関が景気後退の可能性が高まったとみている。一部の運用機関は慎重な姿勢を維持するが、その他の運用機関は大幅にアンダーパフォームした高ベータ株式を集めだしている。後者のグループは、景気後退が利上げをピークアウトさせると期待し、弱気相場の持ち直しすら予測している。FRBの金融政策のタカ派姿勢後退について、そのタイミングを巡ってさまざまな憶測が出ている。

経済活動再開関連株に投資妙味

  • 日本の経済活動の正常化が進んでいることから、多くの運用機関は経済活動再開によって恩恵を受ける銘柄のポジションを維持または増やしている。入国制限の大幅な緩和によるインバウンド観光の回復も期待されている。
  • 世界経済の低迷に関する懸念と並行して、内需関連銘柄の相対的な投資妙味が高まっている。

バリュー株投資家の間で地方銀行への関心が高まる

  • 日本銀行が金融緩和政策を継続する一方で、現在の政策は持続可能ではないと考える投資家が増えている。
  • 多くの運用機関は、一部の地方銀行のガバナンスが大幅に改善されたと考えており、これが政策変更の可能性に加えて、バリュエーション修正のきっかけとなるとみている。

テクノロジー株に対する短期的な懸念は継続中

  • 運用機関の一部は、テクノロジー企業のアンダーパフォーマンスにより、バリュエーションの魅力が増したテクノロジー関連株を買い増ししている。
  • しかし、収益悪化がコンセンサスを上回る可能性も拭えず、タイミングに関する不確実性が漂っている。

ロング/ショート戦略

ヘッジファンドは売買を拡大しているがリスクオフも維持

  • • ヘッジファンドは超過収益を狙ったロングとショートをともに増やす一方で、広範な市場下落へのプロテクションとしてマクロ金融商品(上場投資信託やインデックスファンド)の使用を増やしている。
  • 多くの運用機関は、リスクオフのポジションを崩していない。平均ネットレバレッジは、ここ2年で最も低い水準となった(Morgan Stanley Prime Brokerageによると、2020年5月以来の最低値)。

ヘッジファンドは中国株の売却と大幅なアンダーウェイトを継続

  • ヘッジファンドは、2か月連続の買い越しの後、第3四半期においてはグローバル株の売り越しに転じ、年初来で売りポジションを最多に増やしている。
  • 日本および中南米の小規模な売り越しと並行し、売りポジションは日本以外のアジア(主に中国)がその主となっている。

ディフェンシブロングへの転換が継続中

  • 運用機関は、ダウンサイド・プロテクションを厚くするため、生活必需品、ヘルスケア、および公益事業などのよりディフェンシブなセクターのロングポジションを増やしている。

リアル・アセット

グローバル不動産株

  • グローバル不動産株は、グローバル株に対して直近3年間で年率10%のアンダーパフォームを継続中。同期間で、米国で上場している不動産株は、米国株式(S&P500インデックス)に対して9.3%、非上場不動産株(米国不動産投資受託者協会(NCREIF)ファンドインデックス – オープンエンド分散コアエクイティ)に対して13.5%のアンダーパフォーム。これは相当な格差である。
  • 予想収益倍率ベースでは、グローバル不動産株はグローバル株を下回る水準で売買されており、またプライベート・マーケットに対してもディスカウントされて取引されている。プライベート・マーケットのバリュエーションは、想定鑑定評価額にDCF法を用いて出されるバリュエーションに基づいており、保守的な数字になっている。その反対に、上場市場は将来の収益成長を重視する傾向にあり、景気の減速または景気後退がバリュエーションにも織り込まれている。
  • 不動産市場における底堅いファンダメンタルズにも関わらず、プライベート・マーケットのバリュエーションは借り入れコストの上昇に伴う取引市場の減速により下落すると予想されている。例:Green Streetは、最近米国における民間不動産価値の概算を下方修正したが、それでも同セクターは大幅にディスカウントされて取引されている。

インフラ

  • コンセッション契約がベースとなる上場インフラ株はその性質からディフェンシブだが、金利の引き上げと地政学的な難題によって引き起こされた金融市場の混乱と無縁とはいかなかった。特に金利の変動に敏感な電波塔(基地局)とデータセンターは、主に長期リース構造と成長の鈍化によりアンダーパフォームした。しかし、これらの株式は景気サイクルの序盤では好調であったため、部分的にはその揺り戻しであるといえる。
  • 米国の公益事業/再生可能エネルギーセクターは、最近成立したインフレ削減法の恩恵を受けた。この法律には再生可能エネルギーの開発に向けた積極的な措置が含まれている。公益事業株は、成長の加速化が見込まれる風力、太陽光発電、および貯蔵に対する税額控除の恩恵を受ける。その理由は、公益事業は本質的に設備投資に対するリターンを効率改善に充てられ、これを顧客への価格転嫁よりも早く達成できからである。

米国大型株式

企業収益

  • 金利の上昇とドル高が企業の収益性を圧迫すると予想されるため、投資家は第3四半期の決算発表シーズンに向けて相対的に慎重な姿勢を維持している。一部の運用機関は、景気後退シナリオを十分に織り込んだと見て、消費関連銘柄に機会を見いだしている。

インフレに関するFRBの見解

  • 運用機関の多くは足元のインフレ率が今年初めに予想されていたものより高いことを認めているが、インフレの見通しに関する意見にはばらつきがある。
  • ただし、FRBの見解を文字通り解釈すべきであり、中銀はインフレ抑制のため積極的に利上げを継続するだろうと、投資家の認識は一致している。運用機関は高い金利から恩恵を受ける産業(保険業など)または利上げを切り抜けることができる業種(旅行プラットフォームなど)をオーバーウェイトしている。

脱グローバル化と国内回帰

  • これまでは効率とコストが他のすべての検討事項に優先していたが、現在ではジャストインタイム納品手法、およびエネルギーと半導体業界をはじめとした一部のサプライチェーンの単一障害点に内在する脆弱性に認識が高まっている。
  • 運用機関は企業の設備投資がこれまでよりも安定供給を重視したものになる事実を目の当たりにしている。国内投資が海外投資よりも選好され、米国を拠点とする産業およびテクノロジー向けサプライヤーが恩恵を受ける。

グロース株でのクオリティ追求

  • グロース株の運用機関は、投資ユニバース銘柄が無差別に売り込まれた機会をとらえ、手堅い経常収益源と継続的な競争優位性を持つ確信度の高い銘柄のポジションを増やしている。

米国小型株式

投資スタイルのスペクトラム全般で、小型株の運用機関はより積極的な姿勢を取っている

  • これまでの四半期ではよりディフェンシブな分野に傾いてきた小型株の運用機関は、循環株への投資機会の検討を開始した。これら運用機関の大半は2023年に向けて景気後退リスクを背景にいまだ慎重姿勢を維持しているが、、バリュエーションにはすでに相当な下方リスクが織り込み済みであり、株価はしばしば経済回復に先駆けて変動することを運用機関は認識している。

ハイエンド消費者向け銘柄に期待が高まる

  • ローエンドおよび量販市場の消費者の家計がインフレにより圧迫される一方で、高所得層消費者の消費意欲は引き続き旺盛である。運用機関は、ハイエンド消費者向けの旅行・レジャー関連銘柄や小売および耐久消費財企業に着目している。

マーケットオリエンテッドの運用機関は低ベータのスタンスを維持

  • マーケットオリエンテッドの運用機関は、厳しい第3四半期決算発表シーズンとなることを見越して、生活必需品およびヘルスケア銘柄を増やしている。これら運用機関は、多くの収益予測が金利関連の経済減速、為替および利上げリスクを織り込んでいないと考えている。

ヘルスケアおよびバイオテック銘柄への関心が高まる

  • 多くの運用機関は、景気サイクルとの相関性が低いヘルスケアセグメントへのエクスポージャーを増やしている。しかし、小型株投資家の大半は、バイオテックの複雑性および収益化前の企業への投機的売買に警戒感を持つことから、これらの銘柄をアンダーウェイトしている。

グロース株運用機関は、魅力的なバリュエーションとなっている高成長ソフトウェア銘柄に注目

  • 投資家は、過去1年でバリュエーションが大幅に圧縮されたソフトウェア関連銘柄に前向きになっている。
  • 運用機関は、より透明性の高い収益源を持つソフトウェア企業に期待している。

結論

インフレ圧力の存在と景気後退の不安が最大の懸念事項となるなか、株式運用機関は市場の乱高下に対する短期的な処方せんはないとみている。今後も市場の混乱が続くと予想されており、当社はボラティリティと機会を活用するために運用機関のスペシャリストの見解が不可欠だと考えている。年末も近づいてきたが、当社では今後も引き続き洞察をお届けする予定である。