ミシェル・サイツ(Michelle Seitz)ラッセル・インベストメント会長兼CEOから皆さまへのメッセージ:Our resolve is complete(私たちの決意)

※以下は、2020年3月26日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文はこちら

驚くべきことに、新型コロナウイルス禍に直面し、上海拠点の社員を守るために同拠点で戦時とも言える勤務体制に移行したのはわずか9週間前のことでした。現在、世界に生きる私たちの生活は、ほぼすべての側面でこの災禍の影響を受けています。しかし、私たちの未来は、この現実に立ち向かおうとする人々の意志と同様に強く健全なもので、私たちの組織やコミュニティの間においても、同様の姿勢を保つことができたことを心強く感じています。

投資家の皆様に資産運用サービスをご提供し続けることと同様に、社員の健康を守ることは、私の最優先事項です。現在、世界各地で弊社グループ社員の90%以上が在宅勤務により業務に従事しています。私たちは、お客様の期待を上回ること目指し、ビジネスニーズの緊急性を感じて業務に従事することを旨としています。そのため、緊密なコミュニケーションとお客様を支援する努力を継続することを日々の行動規範としています。投資家の皆様がこの困難な時期を乗り越えるうえでの一助としていただけるように、Managing Through Volatilityページ(英語のみ)を随時更新しています。

現在、地域によっては、お客様とのミーティングを対面式からバーチャルなものに置き換えているため、通信量は非常に多く、現在の市場環境とポートフォリオ動向に関しては、定期的なオンライン配信などを通じてタイムリーな情報もご提供しています。私たちが協業しているファイナンシャル・アドバイザーのおひとりが昨日、私たちにメールを送ってくださいました。「ファイナンシャル・アドバイザーがクライアントにもたらし得る付加価値についてオンラインで話された時、自分の職務に身が引き締まる程の誇りが感じられました。今こそ、私たちがクライアントの方々に手を差し伸べ、奉仕をするのに最適な瞬間です。それを思い出させてくれたことに感謝します」。力強いものでした。

中央銀行と中央政府の協調政策が、今後の世界的な景気後退の深さと長さを決定することになるとみられます。私は、米上院が可決したばかりの2兆ドル規模の景気刺激策を含む、拡大された財政刺激策に勇気づけられました。何百万に及ぶ個人を破産に追い込むことを避けるためには、人々や企業の手に素早く資金を届けることが不可欠な状況です。驚異的な規模の財政刺激策にもかかわらず、第2四半期(4-6月期)の世界のGDPは13%以上減少することが予想されています1。これは前例のないことですが、しかしまた驚くことでもないと考えています。市場は、企業収益改善を取り巻く不確実性に伴う急激な経済収縮をどのように織り込むべきかを消化する渦中にあります。MSCI・オール・ワールド・インデックスで測る世界の株式は、3月25日の終値で見ると、2月12日のピーク時から28%下落しており、現在はほぼ2017年前半の水準近辺にあります。しかし、世界金融危機後の強気相場は11年近く続きました。このような最近の大きな下落にもかかわらず、MSCI・オール・ワールド・インデックスは、2009年3月3日以降、年率7.8%で上昇を続けてきたことになります。2

世界は、いずれはこのパンデミックから脱け出すことになります。足もとでは中国がその先頭に立っているようです。同国においては、3月19日に新型コロナウイルスの新たな感染症例が出なかったことが報告されています。ラッセル・インベストメントの上海拠点の社員の一部は、最近オフィスへの出社を再開しました。このウイルスを封じ込めるためのタイムラインは、国や地域によって異なってくるとみられますが、事態の収束に伴う反対方向への歩みも次第に始まるでしょう。

今世界が経験していることは、確実に私たちの生活や仕事のあり方も変えることになると考えています。私たちの個人的な世界と職業的な世界は、かつてないほどに境界線がなくなり、衝突するものとなっています。このことが、産業化時代の仕事に対する考え方を恒久的に変えていく転換点になると考えられます。グローバルに相互に結びついた社会の中で、ネットワークやテクノロジーを最大限に活用することで、生産性の向上、ライフスタイルの改善、カーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)の削減なども可能になるのです。しかし、無論のこと、この危機はまた、退職者数の増加や富の不均衡という、既に深刻な問題に消えない傷跡を残すことが予想されます。

私は、世界中で行われている市民レベルの様々な取り組みに心を打たれています。世界は、大きな決意と強靱性を示しているのです。私は、今回の事態を受けた同僚達による一連の奮闘にもまた感謝の念を抱いています。私たちは、皆様とともに歩み、これまで以上に強固な意志を以ってこの難局を乗り越えていきます。


1 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、バークレイズ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、UBS  (2020年3月25日現在)
2 MSCI、トムソン・ロイター・データストリーム(2020年3月25日現在)