2021年第2四半期(4-6月期)株式運用機関レポート:ボラティリティ上昇で優秀な運用機関に好機到来

以下は、2021年7月29日にラッセル・インベストメント(米国)のHPに掲載された英文記事を翻訳したものです。原文は こちら。内容は作成時点のもので今後市場や経済の状況に応じて変わる可能性があります。また、当見解は将来の結果を保証するものではありません。

世界経済のまだら模様の回復により、株式運用機関の超過収益獲得機会は増えるだろうか?

ラッセル・インベストメントは2021年第2四半期の状況について株式運用機関を調査し、超過収益獲得機会は増加するとの結論に達した。

2021年第2四半期の調査結果によると、最近の市場センチメントの悪化によってボラティリティが上昇しているが、優秀な運用機関にとっては多くのチャンスが生まれている。ラッセル・インベストメントは、このような状況が今後数カ月続くと予想している。インフレ懸念や新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大によって、まだら模様の経済回復が続き、必ずしも順調な回復とはならない可能性があるものの、根本的には、世界経済の回復に対する市場センチメントとファンダメンタルズは引き続き良好と考えている。

全体としては、第2四半期はほとんどの指数(インデックス)が堅調なリターンとなったが、株式運用機関のパフォーマンスに影響した要因については地域ごとに大きな違いがあった。グローバル株(除く米国)、新興国株、欧州株、日本株、米国小型株にとって市場環境は良好だったが、米国大型株、グローバル株、英国株、オーストラリア株、カナダ株にとっては難しい環境だった。この四半期は強気相場になったため、ディフェンシブ銘柄を重視する運用機関も苦労したようだ。

多くの市場ではモメンタムファクターとグロースファクターが目立って上昇し、低ボラティリティファクターとバリューファクターが劣後した。このような市場環境下では当然ながら、資本財や素材といった景気敏感セクターの多くが失速し、テクノロジーセクターはほとんどの地域において大きく上昇した。注目すべき例外は新興国市場であり、全く逆のことが起こっていた。また、第2四半期は生活必需品や金融セクターが相対的に伸び悩む一方、エネルギーセクターの上昇が目立った。バリュー株や景気敏感株へのエクスポージャーを選択的に若干引き下げた運用機関もあったが、このような銘柄は昨年第4四半期から好調が続いていたためであり、これらの銘柄に対する確信度が変わったわけではない。世界経済の成長回復を背景に、コモディティ・サイクル、特に銅や銀など、クリーンエネルギーや電気自動車への転換につながる素材の採掘・生産に関わる企業について多くの運用機関が引き続きポジティブな見方をしている。

この四半期ではグロース銘柄や昨年好調だった銘柄(特に米国のFAANG1)へのローテーションが進んだものの、幅広い銘柄が市場を牽引するようになっており、市場集中度が低下し続けている。ラッセル・インベストメントでは、これはアクティブ運用にとっての好機と見ている。さらに、クロス・セクショナル・ボラティリティやバリュエーションの乖離は引き続き魅力的であり、この状況も優秀な運用機関にとっては好ましい環境である。

本レポートは、ラッセル・インベストメントが運用機関との間に築いた独自の関係を活用して、運用機関のスペシャリストの見解を読みやすい形にまとめたものである。2021年第2四半期の世界の主要な株式市場と地域について、主な戦術的見通しを以下で紹介する。

オーストラリア株式

見通しは引き続きポジティブ、運用機関は景気敏感株の保有を継続

  • ASX 300指数が年初来で13%上昇し、第2四半期には債券利回りの低下によって景気敏感株には逆風が吹いた。しかしながら、国内雇用の回復は堅調で(第2四半期の求人は前期比23%増、前年同期比では184%増)、建設ブームも発生していることを背景に、運用機関は依然として見通しは良好と考えている。
  • 国内経済と世界経済から大いに恩恵を受けている企業(エネルギー、素材、資本財など)に対する見方は、依然として明るい。
  • 運用機関は、新規プロジェクトに対する高い環境規制(ハードルレート)が供給への足かせとなり、エネルギーや資源セクターにとって追い風が吹くことを織り込んでいる。
  • 当四半期には、旅行関連会社もオーストラリア経済への好影響をもたらしていることから、運用機関は投資対象に加えつつある。

カナダ株式

経済回復は引き続き順調

  • 運用機関は、現在の市場・経済の拡大傾向が持続するとの見方について非常にポジティブである。楽観的なワクチン接種の進捗見通しや、企業利益も予想以上に回復していることから、運用機関は確信を深めている。ただし、インフルエンザが流行する秋に、ワクチン未接種者の間で感染の再拡大があるとの懸念も運用機関は抱いている。
  • 今年後半にかけて融資額の増加、M&Aに伴う収益増加、自社株買いや配当制限の緩和などが見込まれることから、銀行株が選好されている。

インフレに関する議論が継続

  • インフレ率に関しては、旅行・娯楽関連支出によって(一時的に)大幅上昇するとのシナリオから、控えめなシナリオまで、予測が大きく分かれている。大半の運用機関の見解が一致しているのは、サイクル初期のインフレは大きく変動する可能性があるが、長期的で価格硬直的なモノやサービス のインフレ(Sticky-Price CPI)は懸念材料という点である。
  • 運用機関は、インフレが長期的に継続する場合、需給のアンバランスが続く、金属・鉱物株が最も可能性のある投資機会と見ている。

グロース株運用機関は「新経済(ニューエコノミー)」株投資に活路

  • 「新経済」IT株の最近のIPO(新規株式公開)や、非伝統的な金融株が、投資ポジショニングのカギと見られている。
  • グロース運用やGARP(グロース・アット・リーズナブル・プライス)運用を手がける運用機関は、目の前の利益に対するボラティリティを無視して、長期の持続的なトレンドを重視している。

GARP運用機関は高収益率(マージン)を志向

  • GARP運用機関は、インフレ率の高さや、国内経済における資産価格インフレの恩恵を重視し、収益率の高いグロース企業や景気敏感株に投資妙味があると見ている。

バリュー株運用機関は銘柄入れ替えを模索

  • バリュー株運用機関は、バリュー株の銘柄入れ替えを続けている。割高となった銘柄を削減する一方、エネルギー、金融、基本素材セクター株を買い増している。新たなアイデアは少なく、結果として回転率は低くなっている。

新興国株式

経済回復局面はストックピッカーの腕次第

  • 新型コロナウイルス感染症の再拡大や、複数の市場における経済活動再開の遅れにより、リオープニング・トレードの妙味が依然として残っている。一部の市場では、通貨高の可能性もあるため、さらなる投資メリットも見られる(ブラジル、トルコ、東南アジア諸国など)。
  • コモディティ市場については、世界経済の成長や需給の逼迫が長期的な下支えとなり、引き続き魅力的であるとみている。
  • 貿易取引の平常化や、物流・サプライチェーンの逼迫により、船舶会社は今後も恩恵を受けるだろう。
  • 不動産業者は、中国政府による「政策主導での売却」で魅力度が高まっていることに加えて、小売業やオフィスの再開で恩恵を受ける可能性が高いため、引き続き魅力的といえる。
  • 新型コロナウイルス感染症の再拡大の中で、新興国株の運用機関は、旅行に関連した特定銘柄も投資対象に加えつつある(マカオ株、空港株など)。

IT企業への強気の見方と、規制強化への懸念

  • グロース株運用機関は、中国におけるeコマース関連銘柄(コンテンツ・プロバイダー、物流企業など)に対して強気な見方を崩していない。一方、大手ITプラットフォーム企業については、中国政府のリスクが懸念材料となり慎重になっている。

グローバル株・新興国株間のシフトが発生

  • クリーンエネルギーへの転換の動きによって、再生可能エネルギーや電気自動車(EV)のサプライチェーンにおいては、バリュエーションが割安な銘柄に対するセンチメントが引き続きポジティブである。運用機関は、特定のコモディティも支持している。
  • 炭素排出量基準によって鉄鋼産業は統合が進み、CO2排出の少ない、高品質な鉄鋼生産への転換が図られている。
  • 消費者向け・産業向けの半導体需要や、サプライチェーンの逼迫が続いていることから、運用機関は台湾や韓国のITハードウェア企業への投資を積み増している。
  • グロース株運用機関は、以前から続く米中緊張関係や中国のIPOを巡る混乱に対応して、中国株の再上場シナリオに向けたポジションを構築している(証券取引所、オンショア金融など)。

欧州および英国株式

コロナ後の経済再開に向けての長い滑走路

  • 新型コロナウイルスのパンデミックによって最も大きな打撃を受けた産業セクターは、繰延需要と可処分所得水準の高さを考慮すると、依然として回復に向けて良い条件が揃っている(ホテル、航空、ジムなど)。
  • 医療機器製造セクターは、引き続き投資妙味のある分野とみている。
  • 第2四半期終盤に、ロックダウンへの不安が再浮上したために一部の経済活動再開の恩恵を受ける銘柄が低迷したが、これは投資機会と捉えている。

サービスセクターも回復か?

  • 欧州市場は、景気敏感セクター(ポジティブな景気サイクルで大きな恩恵を受ける資本財セクターなど)へのエクスポージャーが比較的高い。これまで経済回復に大きく貢献してきたのは製造業に関連する企業だが、経済活動が平常化するにつれ、サービスセクターが追いつく機会となる可能性が出てくると見ている。

英国建設セクターに投資妙味

  • 英国内外の建設業界に対する見通しは、住宅およびインフラ両方において依然として力強いため、投資妙味があると見ている。

EV専門メーカーと伝統的自動車メーカーのバリュエーション・ギャップの再評価

  • 「新世界」自動車メーカーの今後の成長を見越して、割高なバリュエーションを許容してきた。一方で、フォルクスワーゲンなどの「旧世界」自動車メーカーは最近まで、経営不振企業のようなバリュエーションとなっていた。
  • 伝統的自動車メーカーはEV車種を増やし、研究・開発も続けているため、投資家はEV専業メーカーとのバリュエーション・ギャップについて再評価を進めている。

グローバル株運用機関も英国への投資に注目

  • 英国は他の地域に比べてバリュエーションが依然として魅力的であり、センチメントが改善する中で、グローバル株運用機関が2014年以降初めて英国へのオーバーウェイトに転じる動きを見せた。ビジネス・サイクルも追い風となっている。

グローバル株式

インフレリスクに対しては最小限の反応

  • 投資スタイルの異なる運用機関の間でも、インフレリスクについては一時的との見方が大勢で、混乱はほぼ生じていない。サプライチェーンのボトルネック現象や、マネーサプライの増加はある程度見られるものの、恒常的な物価上昇圧力はない。既存の投資ポジションを変更してインフレヘッジのための銘柄入れ替えを行った運用機関は、ほとんどなかった。

コモディティ市場はESG一色

  • ESG(環境・社会・ガバナンス)のトレンドから恩恵を受けられるコモディティ(銅、アルミニウムなど)が投資家の関心を集めている。
  • 世界各国での脱炭素化への取り組みを踏まえ、石油セクターへの投資を回避する運用機関もある。一方、ディープバリュー投資家は、今後数十年にわたり多少は残るであろう投資機会を検討している。
  • 半導体やメモリーは、「新たなコモディティ」となる可能性がある。1台当たりの半導体チップ搭載数が多いEV市場の拡大によって自動車用半導体への需要が増え続けており、モノのインターネット(IoT)の拡大も減速する気配はない。

銀行セクターには逆風

  • 米国の銀行では、融資需要と相殺されることがないまま、現金預金が過剰になっている。過度のマネーサプライは、金利引き上げによる潜在的なメリットを台無しにしてしまいかねない。

運用機関は中国の規制リスクを嫌気し、EMEAに注目

  • 運用機関は、中国政府による国内巨大IT企業への監視強化の流れを受け、規制の不透明性を嫌気し、中国へのエクスポージャーを減らしつつある。
  • 運用期間は、リオープニング・トレードの恩恵を受けられるEMEA(欧州・中東・アフリカ)でより魅力的な投資機会を発掘している。新型コロナウイルス感染症の第2波により、欧州の経済回復は後れを取ったが、景気は反転している。
  • ただし、中国株強気派は、中国企業が同様の規制圧力に適応してきた実績があることに着目している。また、素材やコモディティについて長期にわたるESG投資機会も存在していると主張している。

デルタ変異株拡大で、リオープニング・トレードに再注目

  • 値上がりした景気敏感株を減らしてディフェンシブ銘柄を増やしていた運用機関は、デルタ変異株が都市封鎖や不確実性につながる状況を考慮し、割安になったリオープニング・トレード銘柄に再着目している。

日本株式

業績の上方修正はピークに

  • 運用機関は、在庫サイクルの改善が牽引した現在の景気回復がほぼ株価に反映されたと考え、これまで好調だった景気敏感株に対するエクスポージャーを第2四半期に徐々に減らした。
  • アナリストによる業績予想の上方修正はピークを迎えつつある。
  • 今年後半に世界的な経済活動の平常化に伴って需要が回復すれば、さらなる上方修正が行われる可能性もある。

インフレ予測が銘柄選択のカギ

  • 運用機関はインフレ圧力に注目しているが、見解は割れている。多くの運用機関は、一過性の供給不足が原因のためインフレ率上昇は短期的と考えている。一方で、サプライチェーンの再構築やESG志向の施策が長期的なインフレ圧力につながることから構造的なインフレと予想する運用機関もある。
  • インフレが一時的ではないと予想している運用機関は、金融セクターへのエクスポージャーをインフレヘッジとして加えている。

リオープニング・トレードは続く

  • 日本におけるワクチン接種が遅れていることから、リオープニング・トレードの恩恵を受ける銘柄の投資機会が継続している。日本のワクチン接種率は、7月中旬時点で20%強と低いままである。
  • 多くの運用機関が、輸出産業から国内需要主導の産業(小売業、運輸など)へ戦術的なシフトを続けている。

中国リスクに対しては見方が交錯

  • 多くの運用機関が、中国に関する長期的な地政学リスクや規制リスクは残ると考えており、輸出企業にとって脅威になると見ている。
  • 一方、ITセクターに対する中国の積極的な投資活動は、日本のテクノロジー業界にとって力強い需要につながっている。

リアル・アセット

パンデミックで不動産への長期的な投資傾向が加速

  • eコマース:物流、特定小売
  • デジタル化:データセンター、携帯電話基地局
  • サンベルト地域の人口移動:在宅勤務へのシフト
  • 研究・開発:ライフサイエンス、研究スペース

2021年後半にはファンダメンタルズ回復か

  • 世界的に、不動産からのキャッシュフローや配当金が増加し、プラス圏への回復が見込まれる。ただし、サブセクターによって、依然としてばらつきが目立つ。
  • 需要拡大を受け、不動産事業のファンダメンタルズは改善の兆しが見えており、収益見通しも透明性が高まると期待される。

オフィス・小売店・宿泊施設の回復は、クオリティや市場などの要素で格差

  • 新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、オフィス市場は緩やかに回復している。ただし、オフィススペースのニーズは不透明であり、ポストコロナ時代に向けたレイアウト変更の必要性も考えられることから、賃貸期間は短くなり、設備投資が増加すると見込まれている。
  • 食料雑貨店や必需品の小売店は、eコマースの急増による大きな影響は受けていない。
  • ビジネス出張関連の見通しは、現時点では不透明である。

M&A活動の増加を予想

  • 魅力的な水準の資本コスト、再建築コストの上昇、直接投資機会の少なさ、地理的分散やポートフォリオ分散の重視など、複合的な要因によってM&A活動が増加すると見込まれる。

運輸セクターのインフラに投資機会

  • 在宅勤務の普及は、有料道路の交通量よりも公共交通機関の利用量に大きな影響を及ぼした。
  • 北米の鉄道貨物輸送は、回復力が高いということが証明された。
  • 移動制限の緩和により航空機を利用した移動は回復傾向にあり、国内便に利用される空港は恩恵を受けている。

米国大型株式

コロナ後の経済活動再開

  • 多くの運用機関が、コロナ後の国内景気回復に伴い、リオープニング・トレードが続くと予想している。一方、ワクチン接種が停滞した場合や新たな変異株が出現した場合には、景気回復の勢いが削がれるとも考えている。このリスクを軽減するため、運用機関は、経済回復で恩恵を受ける類似した銘柄を複数購入するのではなく、パンデミックの影響下にあるセクター内で競争力やシェアが高い企業に注目している。
  • eコマース企業やサブスクリプション企業など、多くのグロース株がパンデミック期間中に成長したが、2021年後半には利益成長率が鈍化すると見られる。運用機関は、持続可能な勝者と一時的な勝者を見分ける能力こそアクティブ運用のカギと考えている。

インフレ懸念

  • 運用機関はインフレ率が落ち着き始めたと見ているが、多くのセクターでサプライチェーンの逼迫が続き、企業は労働コストの上昇圧力にもさらされているため、しばらくインフレ傾向は続くと予想している。
  • インフレが長引けば、相対的に収益力や価格決定力の高い企業が有利になるだろう。

債券代替銘柄(ボンドプロキシー) vs. 金融株

  • 第2四半期に米10年物国債が上昇し、利回りは低下した。ただし、それによって債券代替と目される生活必需品セクターや公益事業セクターの高配当株が上昇したわけではない。運用機関は、スプレッドの低下は本質的には一過性であり、景気回復が減速する兆候ではないと見ている。
  • 低金利によって銀行株は難しい局面にあるが、バリュエーションは魅力的であり、バランスシート上も手堅く、融資額や金利差による収益も将来的に改善が見込まれることから、運用機関は楽観的な見方を崩していない。

米国小型株式

小型株の収益環境については楽観的だが、バリュエーションに対する懸念が拡大

  • パンデミックからの景気回復が続くのに伴い、運用機関は2021年後半の収益環境は良好と見ている。
  • 小型株の収益見通しは明るいが、5四半期にわたってアウトパフォームしてきたことから、運用機関はバリュエーションに対して懸念を持ち始めている。具体的には、金融株については楽観的であるが、資本財などの景気敏感セクターに対する懸念が大きい。
  • バリュエーションに対して敏感な運用機関は、潜在的な金利上昇やインフレ圧力からマルチプルの縮小を警戒している。

小型株におけるグロース vs. バリュー

  • Russell 2000®バリューインデックス(R2V)は、Russell 2000®グロースインデックス(R2G)に対して、予想株価収益率(P/E)ベースで2002年以降最も有利な状態を維持している。しかし、運用機関は、第2四半期の終わりにR2VがR2Gをわずかにアウトパフォームする程度にまで下落したことを受け、バリュー株ラリーの持続性に疑問を抱き始めている。

ハイクオリティ小型株は反発か

  • ハイクオリティ小型株は直近で大きくアンダーパフォームしてきた。過去1年の相対リターンが平均値よりも数標準偏差ほど低い状態が続いている。運用機関は、通常であればそろそろハイクオリティ株が再上昇してくる頃だと考えている。

小型金融株にも投資妙味

  • 投資スタイルの異なるさまざまな運用機関の中で、金利上昇局面を見越して地方銀行に投資機会を見出す運用機関が現れている。また、これまでパフォーマンスの良かった銀行株から、現時点でパフォーマンスの劣っている銀行株への銘柄入れ替えも行われている。

結論

まだら模様の経済回復は今年後半も続く可能性が高い。経済活動が平常に戻るか否かは、ワクチン接種の進展にかかっている。株式運用機関の主要な注目材料は、デルタ変異株がもたらす影響と、予想を上回るインフレのリスクである。予想を上回るインフレによって予想よりも早い時期に金融引き締めが行われれば、経済成長の予測値も低下することになる。また、中国における規制強化や地政学的緊張も、運用機関によるリスク評価の材料として重要であり続けるだろう。

最後に、ラッセル・インベストメントは、これらの問題に関する無数の不確実性がボラティリティと投資機会を生み出し続けると考えている。ボラティリティや投資機会を活用する上で、専門性の高い運用機関による分析は不可欠になるだろう。ラッセル・インベストメントでは、パンデミックを乗り越えて回復しつつある世界経済について、今後も洞察をお伝えしていく予定である。