OCIOとは何か?

OCIO(Outsourced Chief Investment Officer)とは、日々の年金運用業務をフィデューシャリー・マネージャー(以下、「FM」とする)にアウトソーシングすると同時に、運用に関する助言を得ることを指します。運用業務を第三者に委託すると、年金制度の受託者は戦略的な意思決定と長期的な結果に集中することが可能になり、他の運用業務はFMに移転されることになります。

FMはクライアントと提携し、それぞれの運用目標の達成を助けます。そして、お互いに合意したパフォーマンス・フレームワークの範囲内の投資意思決定の責任を負います。

OCIOの特徴は何か?

英国では、年金制度の受託者は、ガバナンスの強化、積立比率の向上、ボラティリティの低減、コストの削減など、幅広い目的を満たすためにFMと提携します。

ガバナンスの強化

OCIOの中核にあるのは、ガバナンス・ソリューションです。投資意思決定に組織が用いる従来のガバナンス・モデルには欠陥が多くあり、今日の非常に複雑な規制環境・運用環境において、その欠陥は深刻になるばかりです。

運用の実施や継続的なポートフォリオのモニタリングなど、あらゆるプロセスの段階で、さまざまな意思決定が必要となります。適切なパートナーを選定すれば、受託者は以下の業務をより効果的に行い、運用成果を改善できるようになるでしょう。

  • 投資機会の特定
  • 積極的なリスク管理
  • 規制制度の遵守

市場を著しく混乱させた世界的規模のパンデミックの発生により、英国の年金制度の多くが、その運用とガバナンス・モデルを見直しています。

最高クラスの運用機関へのアクセス

今日の運用環境を鑑みるに、ラッセル・インベストメントは、従来の年金資産運用モデルは次善策であると考えています。従来のアプローチでは、運用コンサルタントからの助言に基づき安定的な資産配分が行われます。多くの場合、変更が提案され、合意された後、年金ポートフォリオに反映されるまでに12ヶ月から18ヶ月もの時間がかかります。

適切なFMは、日々の監視と戦略的助言を提供する社内専門家からなる専門チームを有するだけでなく、世界最高クラスの運用機関へのアクセスも提供します。優れたFMは、何百もの運用機関と投資機会を幅広くリサーチして格付けし、年金ポートフォリオに最適なものを見つけることが可能です。

また、熟練したFMは、包括的なリスク管理システムを有します。これは、ラッセル・インベストメントの見解では、今日においてポートフォリオを効果的に運用するために不可欠なものです。こうしたシステムは通常、クリック1つで複数の運用会社のポートフォリオのエクスポージャーを集約的に示し、エクスポージャーがリスクとメリットの両方にどのように影響するかが一目でわかるようになっています。

コストの削減

多くの年金制度は、運用機能の一部または全部をアウトソーシングすることで、コストを大幅に削減することが可能です。どのように削減するのでしょうか?

運用コストとポートフォリオのサイズには、十分に裏付けられた反比例関係があります。言い換えれば、巨額の資産を運用する大規模なFMは、その規模を利用して、採用運用機関に対してより競争力の高い料金(低い運用報酬)を交渉することができます。こうした購買力を集約することで、プロバイダーは、個別の年金制度による個別交渉では到底達成できないような効率性を提供できるのです。

一部のFMが提供する他の価値ある特徴として、トランジション・マネジメント(資産移管の管理)があります。資産配分や運用機関の変更に際して、専門的な助言が得られる場合には、不要な取引コストや移管リスクを低減するために、そうした助言を役立てるべきです。コストやリスクの削減効果は相当なものとなる可能性があります。

ESGインテグレーション

OCIOは、選定したFMの専門的な助言を利用し、その運用能力を最大限活用するものです。これには、どのようなプロセスでESGファクターを取り込み、活用しているかなどの理解も含まれます。自らのリソースやニーズを伝える専門家を雇用することで、受託者は、パフォーマンスとESGの両方において全体的な目的を達成する可能性を高めることができます。

ESGファクターは有価証券の価格に確かに影響しますが、パフォーマンスを犠牲にする必要はないとラッセル・インベストメントは考えています。実際、ESGに関する検討事項に大きな重点を置いたポートフォリオを構築することで、リターンが向上する可能性さえあります。

FMを雇うことで、ESGインテグレーションを別に考えたり、後から考えるよりも、ビジネスや文化全体にわたってESGインテグレーションを行う全体的なアプローチを取ることでメリットを得ることが可能です。

バックオフィスの改善

運用業務をアウトソーシングするということは、FMが関連する日々の事務作業を引き受けるため、受託者のリソースへの負担を軽減することでもあります。これにより、受託者責任が確実に履行される一方で、受託者が中核的な事業活動により多くの時間を自由に使えるようになります。

適切なFMを選定するには?

ラッセル・インベストメントが考える、トップのFMと他を分ける重要な要素は、堅牢な運用システム、高度な執行能力、FMの核となるビジネスモデル、運用コンサルティングにおける実証可能な成功実績および計画管理です。これらの特徴を備えたパートナーを選定することは、成功する投資プログラムの立案・実施に大いに役立ちます。

結論

今日の混乱した世界において、会社は多くの困難に見舞われています。資産運用はその一つであってはなりません。OCIOは、年金資産運用の結果の改善を望む会社、そして最終的にはそのメンバーに、より良いガバナンス、透明性、一貫性を提供し続けます。

本資料で示された意見はラッセル・インベストメントのものであり、事実を述べたものではなく、変更される場合があり、運用アドバイスを成すものではありません。