株式投資のためのスマート・プラットフォーム

優れたリスク管理、リアルタイムの透明性、高いコスト効率を日本の投資家に提供

現在の投資環境が進化している中で、日本の投資家は、運用管理の効率化、リスク管理、コスト管理を強化し、より優れたパフォーマンスの実現を一層求められています。エンハンスト・ポートフォリオ・インプリメンテーション(EPI)は、合同運用ファンドを利用したポートフォリオ構築に伴う複数の課題を解決します。 EPIはポートフォリオ管理プロセスを統合し、透明性を向上させることによって、株式資産を管理するための「スマート・プラットフォーム」を提供します。このプラットフォームは、複数の合同運用ファンドへの投資では実現できない業務の合理化と十分な情報に基づく意思決定を可能にします。 本稿では、リスク管理手法の強化、ポートフォリオ保有銘柄のリアルタイムでの可視化、リターンの改善について、EPIが投資家にどのように役立つかをご紹介します。ポートフォリオの運用管理における一元化された協調的アプローチを通じて、EPIはコストを削減できます。

合同運用ファンド・ストラクチャーが抱える課題

合同運用ファンドは広く利用されていますが、最適なポートフォリオ管理を妨げる複数の課題を抱えています。

  1. 不完全なリスク監視:保有銘柄に関するリアルタイムの情報を取得できないため、ポートフォリオのリスクを効果的に監視し、管理する能力が制限されます。
  2. 運営上の複雑性:複数の口座の調整やファンドの移受管には、多大な時間とコストがかかる場合があります。
  3. 非効率な取引プロセス:個別の運用機関が売買取引を行うと、ポートフォリオ全体で重複した取引とコストの増加につながります。
  4. 潜在的に高い運用報酬:合同運用ファンドに対する投資は、他の運用管理方法と比較して、高い運用手数料につながる可能性があります。

EPI:ポートフォリオ・インプリメンテーションの変革

EPIは、マルチ・マネージャー・ポートフォリオの運用管理と売買取引を単一の口座に一元化することによって、上記の問題に対処します。この口座は、投資家毎の仕様に基づいて管理されます。各運用機関が他の投資家も多数参加している合同運用ファンド内で個別に売買取引を行うのではなく、EPIでは、全ての運用機関の保有銘柄を入手し、一元的にポートフォリオを構築し、売買取引を行います。EPI内のポートフォリオは運用機関によって管理される一方、EPIでは非効率な取引を最小限に減らしながら、リターンを獲得します。その結果、手数料や市場への影響を抑えて大幅なコスト削減を実現できると同時に、日々のトータル・ポートフォリオの管理能力やモニタリング能力も高められます。長期的な安定性や規制上の優先事項との整合性を重視している投資家にとって、これらのメリットはパフォーマンスと柔軟性に直接貢献します。

1. リスク管理の改善

EPIは、ポートフォリオ資産を単一のカストディ口座に統合することによってリスク管理を強化し、エクスポージャーの全体像を把握できるようにします。

  • リアルタイム・モニタリング:保有銘柄が定期的にしか報告されず、すぐには把握できない従来の合同運用ファンドとは異なり、EPIはポートフォリオのエクスポージャーを即時に可視化できます。そのため、投資家は新たなリスクを迅速に特定し、対処することが可能となります。
  • リスク管理:投資家が定義したリスクの閾値(国、セクター、ファクター・リスクの制約など)が厳格にモニタリングされ、目標に対するアクティブ・リスクが管理と執行が可能になります。
  • 効率的な運用機関変更:EPIは運用機関間におけるリバランスや運用機関変更のプロセスを簡素化し、ポートフォリオ全体のリスクレベルに悪影響を与えることなく円滑な移行を実現し、コストを最小限に抑えます。
  • 不安定な市場に直面している日本の投資家にとって、長期的な目標を達成するには、このレベルの管理が必要不可欠といえるでしょう。

2. リアルタイムの保有銘柄に関する正確な報告

効果的なポートフォリオ管理にとって、透明性は要です。EPIの単一カストディ・ストラクチャーにより、投資家は保有銘柄とエクスポージャーをリアルタイムで把握できるようになります。

  • 統合されたデータフロー:全てのポートフォリオ・データは単一システムに統合され、合同運用ファンドにありがちな情報の非対称性が排除されます。そのため、売買取引前後の包括的なコンプライアンス・チェックや期間報告のメリットが実現できます。
  • 意思決定の強化:リアルタイムの洞察により、最新のポートフォリオ情報に基づいて適切な意思決定を行うことができます。セクターのエクスポージャーを管理する場合でも、ESGの優先事項との整合性を保つ場合でも、投資家にとって迅速に行動するためのツールとなります。
  • カスタマイズ機能:EPIでは、カスタム・ガイドライン(除外リストやファクター・ティルトなど)について、個々の運用機関に調整を依頼することなく、ポートフォリオ・レベルで直接導入できます。これらの機能を備えているEPIは、ポートフォリオの監視において正確性と対応力を重視する投資家にとって、非常に価値の高いソリューションといえます。

3. 効率的な売買取引によるコスト削減

コスト管理は多くの機関投資家にとって優先事項です。EPIは売買取引の合理化と不必要な支出の削減により、この課題に対処します。

  • 重複売買の排除:複数の合同運用ファンドに投資する場合、ある運用機関が株式を購入する一方で別の運用機関は売却するという相殺取引が発生することがよくあります。EPIは、運用機関のポートフォリオを集約し、本当に必要な変更のみを実行します。こうして、ポートフォリオの回転率、取引量、コストを削減します。
  • 売買頻度の最適化:EPIでは、ポートフォリオを目標エクスポージャーに一致させるために必要な場合のみ売買取引を行うため、従来の手法に伴う過剰な回転率を回避できます。
  • カストディ手数料およびファンド内コストの削減:単一のカストディ口座により取引チケットと保有銘柄の数が減るため、カストディ手数料の削減につながる可能性があります。合同運用ファンドから切り替える投資家にとっては、投資家が負担するファンド内手数料も削減できます。

調査によると、EPIはグローバル株式ポートフォリオの回転率を最大35%削減できることが分かっており、これは投資家にとって大幅なコスト削減につながります
※出所:ラッセル・インベストメント、2023年9月30日時点。数値は年率換算されており、グローバル株式ポートフォリオの実績を反映しています。EPIの実装は2014年6月11日に開始されました。

4. 運用報酬低減の可能性

売買取引レベルでのコストと同様に、トータル・ポートフォリオ・レベルでの運用手数料も重要な考慮事項です。EPIアプローチでは、ラッセル・インベストメントのグローバルな資産運用における強みを活かし、投資家に代わって手数料の引き下げ交渉を行うことが可能です。

  • 運用機関リスクの低減:モデル・ポートフォリオをラッセルに提出する際に、運用機関は実際の売買取引、取引前後のコンプライアンス、照合を担当しません。
  • 運用可能額の拡大:単一のポートフォリオ・モデルを複数のポートフォリオで使用できる一方で、従来の手法と比較して回転率が低いため、戦略の運用可能額が増加します。

日本の投資家におけるケース・スタディ
ケーススタディ: 運用機関の移受管

投資家の課題の一つとして、運用機関の移受管が挙げられます。従来の枠組みでは、ファンドの入れ替え時には解約と新規受付が必要となり、多くの場合、異なる決済サイクルで実施されます。そのため、運用機関の移行期間中は市場でのエクスポージャーを持てなくなる可能性があり、トータル・ポートフォリオに対するリスクとなりかねません。課税対象企業の場合、リバランスやリスク管理のためのファンド償還は、高額な税負担を生じさせ、企業財務に影響を与える可能性があります。EPIでは、新しい運用機関がEPIプラットフォームにモデル・ポートフォリオを直接提供するため、このプロセスが簡素化されます。調整は目標の変化に応じて一括して実施できます。また、移行期間の短期化させることで、時間とコストの両方を削減できます。

ケーススタディ: ESGインテグレーション

ESGに関する規制やステークホルダーからの注目が増える中、EPIは投資家がESGオーバーレイを効率的に導入することを可能にします。脱炭素化目標や除外リストなどの調整は、各運用機関のマンデートを変更することなく、ポートフォリオ・レベルで適用することが可能です。この柔軟性により、投資に関する洞察を維持しながら、規制基準を確実に遵守できます。

日本の投資家にとってEPIが重要な理由

日本の投資家は、独特な課題に直面しています。例えば、不安定な金利や為替環境、さらには運営管理とスチュワードシップに関する高い基準への準拠を求める政府からの圧力などです。 EPIは、リスク管理の強化、正確な報告の確保、コスト効率の向上により、包括的なソリューションを提供します。

  • リスク管理:エクスポージャーをリアルタイムでモニタリングする能力を備えることによって、不安定な市場への耐性を強化できます。
  • 透明性:リアルタイムの正確な報告により、ステークホルダーの期待に応えるために不可欠な、情報に基づいた意思決定が可能になります。
  • コスト効率:EPIは売買取引量を減らし、運用を簡素化することによって、リターンを高めるようにします。
  • 運用手数料低減の可能性:運用機関の業務負担やリスクを軽減できるため、ラッセル・インベストメントのグローバルな購買力を活用し、運用機関に対して運用手数料の引き下げ交渉を行うことが可能になります。

結論

エンハンスト・ポートフォリオ・インプリメンテーションは、日本の投資家にとってポートフォリオ管理におけるパラダイムシフトです。株式投資用のスマートなプラットフォームでポートフォリオを構築し、コストとリスクを管理しながらリターンを最適化できます。EPIは従来の合同運用ファンド・ストラクチャーの非効率性を解消できるため、リスクをより効果的に管理し、リアルタイムの透明性を維持し、大幅なコスト削減を実現できます。グローバルなベストプラクティスにポートフォリオを適合させたいと考えている投資家にとって、実績豊富なEPIは複雑な投資環境において成果を最適化する手段となります。